音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.146 伊藤忠記念財団

以前からお話のあった伊藤忠記念財団の新規事業の説明会がありました。財団から矢部さんと高根沢さん、アドバイザーとして読書工房の成松さん、音ボラネットの事務局の有志と都内2グループの有志数名が、ボラセンに集まりました。

障害のあるすべての小中学生のために、読書の機会を提供するという目的で、マルチメディアDAISYを製作し、全国の特別支援学校に寄贈するという事業です。教科書ではありません。子供向けの普通の読み物です。今年度30タイトルからスタートし10年間で500タイトルを目標としているものです。

私自身、マルチメディアDAISYをきちんと理解しているわけではありません。あくまでも、音声部分のみの協力をということです。私たちが長年培ってきた経験を困っている子供たちのために生かせるのならとお引き受けすることにしました。先ずは許諾のとれた階成社の5冊を音訳します。とりあえず1冊読み上げて完成品を作ってもらうことにしました。

今後に向けて、マニュアルづくりも大切になってくるでしょう。歩きだしながら考えていくことにします。「デジタル録音ができて、読みの質の高い音訳者を紹介してほしい」と依頼されています。

ネットワーク立ち上げを思いたった頃には考えも及ばなかったことが、色々出てきます。今回の企業とのコラボレーションもその一つです。声をかけていただいたことに感謝しつつ、できることを丁寧にやっていきたいと思います。

No.145 来客

5月26日、長野のやまびこ会の鈴木さんがボラセンに立ち寄ってくださいました。東京出身で日本点字図書館で活動されていたそうです。今では長野の地で、奥様と二人三脚で頑張っています。最初の全国大会からのお付き合いで「せっかくできたネットワークなので、みんなで大事に育てていきたい」といつもエールを送ってくれています。

「やまびこ会」も音訳者の高齢化が悩みのようですが、平成21年度ボランティア功労者厚生労働大臣表彰を受賞しています。(同じく千葉県、印西音訳ボランティアあしぶえとさいたま市、朗読ボランティアグループ木曜会も受賞されたようです。嬉しいことです)

「今回の受賞も、我々を利用して下さっている視覚障害者のかたたちのおかげです。今後一層、音訳の質の向上・充実をはかっていかなければと、仲間たちと誓いあっております」との言葉が心に響きました。

また地元のラジオに出演されたり、市内の選挙公報を読んだりと活躍しています。 貴重な男性ボランティアとして、今後も元気に頑張っていただきたいと思います。みなさんも、ぜひボラセンにお越しください。

No.144 選挙公報

5月25日は15日に引き続き、岐阜アソシア館長の高橋さんにボラセンにお越しいただき、「選挙公報」のことを伺いました。2009年11月発行の「音ボラネット通信」に取り上げました。思い出していただけると、ありがたいです。

日盲社協が総務省と価格設定の協議の上、高橋さんたち音声版選挙公報製作・普及プロジェクトが製作し、各選管に販売しています。購入は義務や強制ではないので100本単位で購入するところもあれば購入数が0のところもあります。

参院選も目前ですが、今回も全国区の録音版はありますが、地方区はありません。しかし、選挙とは「制度」ですから、安易にボランティアが、やるべきことではありません。選管の仕事、です。その選管ができない、やらないというのであれば、ボランティアがどんな形で協力できるのか。まずは選管としっかり話し合うこと。

結果ボランティアが録音版を製作する場合、委託という形がとれないものなので、委託料ではありませんが、「お金」をいただく。テープやCD等の現物支給ではなく、テープ1本いくら、CD1枚いくら、1ページいくらというように、対価をいただくのが当然です。

できれば音ボラネットとして読みのマニュアルや作成にあたってのガイドラインをつくるためにも、プロジェクトのようなものが作れたらと考えています。事務局だけでは、現状無理なので、みなさんぜひ力をおかしください。連絡をお待ちしております。

No.143 サピエ

5月24日(月)なごや会の関東地区の勉強会が、高田馬場でありました。「サピエ」についての研修会です。講師は日本点字図書館の梅田さんです。なごや会というのは、公共図書館で働く視覚障害者の会、ですから「図書館にとってのサピエ」という視点からのお話でした。

「サピエ」というシステムができて、日本点字図書館が管理し、全国視覚障害者情報提供施設協会が運営しています。 視覚障害者をはじめ、目で読むことが困難な方々に対して、さまざまな情報を点字、音声データで提供するネットワークです。1回レクチャーしていただいただけでは、システム全体を把握することはできませんでしたが、情報収集の手段がどんどん進化していることだけはわかりました。実際の利用には会員登録が必要ですが、仮のパスワードで画面を開けました。

メニューが多くてたいへんだと思いました。初心者ユーザーには使いにくいという声も出ているようです。ある程度は慣れでしょうか。 音訳者にとっては「読み方調べ」がお役立ちコーナーです。 事務局の太田と参加しました。

No.142 「民法総則」音訳報告

引き受け手のない依頼のその後です。引き受けてくれた名古屋YWCA音声訳グループの堀尾さんからの報告を承諾を得て、ここに紹介致します。

まず、依頼者のNさんからの「活動に負担のかからないように音訳していただければ」の控えめな一言に、読みたいものをなかなか読めない実情を感じました。勉強のためということなのでなるべく早く読み上げたいと、グループで読み手を募ったところ、法律書は初めての2人を含め5人が手をあげてくれました。

初めに著者伊藤真氏から著作権の許諾を得ました。他にも読みたい方がいれば、貸し出しができます。 この本は司法試験等の受験者のための学習書です。わかりやすくするための工夫がされ、効率的に学習できるようになっています。そのため、チャート・図表・色刷りなどが1ページに何か所もあります。また、欄外には、8種類の項目があり、一目で本文へのアクセスができるようになっています。

初めに読み方のマニュアルを作成。3月から音訳開始。4月初めに分担箇所を持ち寄り一冊の本にし、16日には、CDを発送しました。

「早速、聴いてみました。単に本文だけでなく、色刷りの部分や図の説明など、細かな部分まで読み込まれていて内容が十分理解できます。はっきり、丁寧な読み方ですごくわかりやすいです。とても嬉しく、感動しています」と、Nさんから連絡がありました。

私達こそ、嬉しく励みになりました。 音ボラネットのデータベース化への取り組みはぜひ実現したいですね。今回の私たちのデータも活用してほしいと切望します。

私たち音ボラネットの大きな役割の一つに「コーディネートの場」があります。利用者と音訳者がつながった例として紹介させていただきました。いろんな気づきを与えてくれた出来事でした。

No.141 有意義な出会い

つくば市の柳澤由紀子さんから、連絡がありました。ぜひ、紹介したい人がいると。 双方の日程調整の結果、本日4月24日飯田橋のボラセンでお目にかかりました。 柳澤さんは、少しでも質の高い音訳をと、精力的に活動をしている方です。

その彼女がお連れになった方というのは、筑波大学障害者支援センターの青柳先生です。ご専門は「視覚障害の教育学」だそうです。頭脳明晰とは、正にこういう方のことをいうのでしょう。 音ボラネットの現状、これからの展望などなど、情報や意見の交換をしました。何かお手伝いできることがあればとおっしゃっていました。ありがたいことです。

特に視覚障碍の当事者の方とは、常に連携をしていきたいと思っています。女性三人の楽しく有意義なひとときでした。

No.140 マルチメディアデイジー

4月22日、当音ボラネットの運営委員による定例会の後、マルチメディアデイジーへの音訳者の取り組みということで勉強させていただきました。 ハートフルブックスの佐藤さん、調布デイジーの牧野さん、日本障害者リハビリテーション協会の野村さんにお越しいただきました。

委員の大半は画面もみたことがないという状況です。今回はとっかかりの一歩ということで、いい機会を与えていただきました。

視覚や聴覚に問題があるわけではないのに、読むことが困難な人たちがいます。主にディスレクシアと呼ばれている人たちです。特に子供の場合、教科書が読めないのは致命傷です。これに対して有効な手段が、マルチメディアデイジーということです。

テキストと音声からなる、音声の部分で、音訳者がお役にたてるのです。マルチという言葉を聞いただけで、まだ多くの人は、引いてしまうと思います。しかし、音訳者がマルチの操作からすべて一人でやるのではなく、音声の部分を受けもてばいいのです。分業です。

著作権法の改正に伴い文化庁に申請をし、認定された法人格を持つ施設が少しづつ増えていることも背景にあってか、マルチに取り組みだしたところが増えたのでしょうか。

音ボラネットへ協力依頼の打診が複数きています。まず、私たち事務局できちんと理解したうえで、読み手の募集ができるようにしないといけないと思っています。今は教科書作りが優先ですが、必要なものは、他にもあります。絵本や物語も成長の上で欠かせない心の栄養です。

調布デイジーの牧野さんが、子供たちのために、音訳者の力を貸して、と言われていたのが強く心に残りました。

No.139 「10月9日」

4月20日(火)、「競い合い助け合うコンサート2010ー羽ばたけ視覚障害音楽家たち」の実行委員会が、会場となるセシオン杉並で開かれました。今年は10月9日(土)です。セシオン杉並は、地下鉄丸ノ内線東高円寺から徒歩5分ほどのところにあります。

昨年までは1000人規模の会場でしたが、今年は600人弱のところに変わりました。まだ先の予定ですが、今から頭の片隅にいれておいていただきたいと思います。毎回たくさんの方が協力してくださっています。一度参加した方がリピーターとなり、更に新しい方を紹介してくださると嬉しいです。

今回の出演者はソプラノの澤田理絵さん津軽三味線の踊正太郎さん邦楽の澤村祐司さん女性コーラスのコール・トゥインクルスターのみなさんです。

No.138 出版UD研究会へ

3月27日(土)、第27回出版UD研究会が専修大学神田キャンパスで開かれました。「障害者・高齢者の読書バリアフリーを実現するために」と題し、宇野和博先生がお話をなさいました。

先生は読書バリアフリーを実現する会事務局長で、筑波大学附属視覚特別支援学校教諭、視覚障害当事者でもあります。 通常の活字図書をそのままでは読むことのできない視覚障害者をはじめ読み書きに困難のある学習障害者、低視力の高齢者がたくさんいます。

今私たちは視覚障害者限定の活動がほとんどですが、私たちが、日々獲得してきた技術等を必要とするすべての障害者のお役にたてられないか考えていきたいと思います。

会場からマンガもぜひ、バリアフリーにという発言に私たちの先頃のシンポジウムで、音訳者も「マンガを読む」ことに挑戦しているという話をさせていただきました。出版関係の方々が、面白い取り組みをしていると興味を持たれたようでした。それぞれの立場での活動がベースですが、うまい役割分担ができるといいなあと思いました。

No.137 図書館訪問

公共図書館における指定管理者制度とは? メリット、デメリットは?

私自身、よくわからないところもあります。現場でも賛成、反対さまざまのようです。反対運動をしているところもあります。ただ、私たちの立場で言えることは、制度が導入される前と後とでは障害者サービスへの取り組みがどうなのかということが重要なのではないでしょうか。今までと変わらないのか、良くなったのか、悪くなったのか、ということではないでしょうか。

著作権法の改正に伴い、公共図書館に期待すること大、です。足りているわけではない蔵書も増やしてほしいし、雑誌も読んでほしいと思っています。 内状は予算がどんどん減らされているそうですが。

さて、3月26日(金)、館長と障害者サービスの担当者が(株)図書館流通センター(TRC)から派遣されている新宿区立戸山図書館に伺いました。大城澄子館長と、川口さん、当音ボラネットの会員である「新宿区声の図書館研究会」代表南部さんが、待っていて下さいました。

大城館長の見識の高さと情熱で蔵書は増え、音訳の講習も定期的におこなわれているそうです。いい形で活動が展開されていると感じました。多くの図書館で今後、館長と職員と、音訳者がうまく意思の疎通がはかれるといいですね。

DAISYへの取り組みが遅れているとか、担当が短期間で変わるので困るとか、土木課から回ってきた担当者の意識が低すぎるとか、さまざまな声が聞こえてきます。お互いに歩み寄り、誰のためのサポートなのか、常に確認しながら活動できることを願います。