「マラケシュ条約」タグアーカイブ

No.354 日盲連でのテキスト化講習会

日本盲人会連合(日盲連)点字図書館長の大橋さんから、「テキストデータ製作ボランティア養成講座」の開催に当たり当音ボラネットに、講師派遣の依頼をいただきました。あの3.11直後、あちこちで断られ続けた一利用者からの一本の電話から始まったテキスト化の取り組みです。
2年前にプロジェクトを立ち上げ、全国の皆さまのご協力の下、慣れない取り纏めに苦労しながら、何とか走り続けてきたというところでしょうか。ありがたいことに、未熟な私たちのところに図書館から、講師の派遣依頼がくるようになりました。本来なら逆の話だろうと思うのですが、各図書館においては、まだこれからというところのようです。

今回の日盲連の講習会で私たちは、テキストデータの作成方法についての実践講習を担当します。ここで特筆すべきは、私たちだけで完結する講習会ではないということです。

筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野先生、千葉県立西部図書館の松井さん、筑波技術大学の長岡先生と当事者の代表であり、それぞれの主張をお持ちの皆さま、加えて読書工房の成松さんが一コマずつ担当されます。

そしてまた、東芝とシナノケンシの講習まで予定されています。すでに第1回目、宇野先生からは著作権法のことやマラケシュ条約のことまで、幅広いお話がありました。もしかしたら初心者には、少しハードルが高いかなと思いましたが、大切なことです。

音訳者の養成講座でも、ここまで踏み込んだ講習会を私は知りません。予算的なこともあるでしょうから、こういうスタイルの講習会がどこでもできるわけではないかもしれません。

しかし、技術的なことにのみ走るのではなく、目的やその背景、意義などを知ることは大きな意味のあることではないでしょうか。

さて、今日は第2回として、当テキスト化プロジェクトの柳下が担当。おかげさまで無事終了。今後もそうそうたる皆さまから学びながら、気を引き締めて望みたいと思います。

No.351 「マラケシュ条約」研修会

珍しく当方事務局そろっての参加でした。
そもそもは、筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野先生から、「マラケシュ条約」について当事者の多くが、あまりよくわかっていないので研修会を予定。

視覚障害者のガイドをお願いしたいと言われました。当日は当方の定例会でしたが、早めに昼食を済ませ、みんなでガイドがてら勉強しようということになりました。
この頃、障害者を取り巻く諸問題について勉強したい、と言っている中山顧問弁護士も加わりました。
平日にもかかわらず、関西方面からの参加者も多く、会場いっぱいの盛況ぶりでした。

文化庁国際課の専門官から、概要の説明がありました。
日本盲人会連合、弱視者問題研究会、全国盲ろう者協会、全国頸髄損傷者連絡会、全国障害学生支援センターの各団体から、「マラケシュ条約批准に期待すること」が表明されました。

さて、すでに文化庁に提出されている日盲連からの意見書には、図書館に関係しないボランティアグループや社会福祉協議会なども、著作権者の許諾なく録音図書の製作やテキスト化等に取り組めるように、要望してくださっています。

また、宇野先生の発言の中でも音ボラネットの名前を上げて、受験生のための教材等のテキスト化の活動を紹介。
複数の子どもたちの利用が可能となるようにこういう団体も、著作権フリーにしてほしいと要望していただきました。心強いです。

最後に、私のこのブログをみてくださっているという立命館大学の方とご挨拶ができました。
8月15日にアップした「著作権法改正に向けて大きく前進」の中で、宇野先生や大橋さんたちと、文化庁との意見交換会に出向いた折りに、確認できたことを書いています。「大学の障害学生支援室が、大学等の図書館に類する施設に該当すると考えられるとの回答を得た」と。

「支援室のこと、このブログでいち早く教えてもらいました」と言われました。嬉しさ半分、責任の重さも感じました。
著作権法改正に向けた今後の動きに注目していきたいと思います。

No.339 著作権法改正に向けて大きく前進

文化庁で意見交換会がありました。1年ぶりに著作権課の森課長のお出ましでした。

こちらは、宇野先生を先頭に、大橋さん、井上さん、佐藤さんそして私と、今まで共に動いてきたいつものメンバーです。  マラケシュ条約の批准に向けて、私たちが訴えてきたことが、正式な小委員会で検討がなされることになりました。
著作権法第37条3項の改正に向け大きく前進しました。

この小委員会とは、有職者で構成されており、当事者はいないということでした。失礼ながら現場を知らない有職者だけで進められることのないように、ヒアリング等の場を設けてほしいと思います。

この小委員会での結論は、本年度中に出される予定で、最速で次の通常国会への提出も可能という話をうかがいました。
私たちの主張が、どこまで通るのか、注視していきたいと思います。

社会福祉協議会で活動している音訳ボランティアや、地域で自主的に活動している音訳ボランティアが、伸び伸びと自由に活動できる日の一日も早からんことを切に祈ります。

先立って、一つ確認できた嬉しいことです。
大学の障害学生支援室についてです。
『視覚障害や学習障害の学生のために、教科書などの教材を拡大文字や音声、電子データに変換するという支援を行っている支援室については、著作権法施行令第2条第1項第1号の「大学等の図書館・・・に類する施設」に該当すると考えられる』という回答を得ました。

法改正となるとなかなか、時間のかかるものですが、諦めずに、みなさんと頑張っていきたいと思います。