「わいわい文庫」タグアーカイブ

No.364 すべての子どもたちの笑顔のために

伊藤忠記念財団マルチメディアDAISY図書「わいわい文庫」製作のための音源提供に関わって早くも6年。
年度末にIMDプロジェクト事務局メンバーと財団に伺い、矢部さんたちと情報や意見の交換をさせていただきました。
マルチメディアDAISY製作のための編集作業は大変です。そこに私たちが提供している音源にまで何か不具合があって、更なるネックが生じるようなことがあれば、申し訳ないことです。いつも何かあれば遠慮なく指摘していただかないと、とお伝えしてあるのですが、どうも奥ゆかしい?
一作品に3~4回は、ヘッドホンで聴かれるそうで、ノイズが気になるそうです。子どもたちのなかにもヘッドホンで聴く子もいるので、少しでもクリアな聴きやすいものを届けたいと努力しています。
その他のこともあって、今まではDR1での録音も可としてきましたが、今期からPC録音で統一ということになりました。

ところで矢部さんたちの今までの地道な努力のおかげで、「わいわい文庫」に対する知名度も高まってきたようです。
初めて「わいわい文庫」を配布した後に実施したアンケート調査では、回収率がわずか35.5%。それが2014年になると96.5%の回収率にアップ。
でも、まだまだです。私たちも障害のある子どもたちの読書支援としてマルチメディアDAISY図書があるということを広く知ってもらう努力をしていかなくてはと思います。
保護者、学校関係者そして図書館関係者等に、「こんなのがありますよ」と一言、声に出すことから始めましょう。
私たちの録音図書製作もどうしても、「不特定多数」に向けたものを作らざるをえません。同様にこの子ども向けマルチメディアDAISY 図書もたぶんにそういう面はあります。
でも障害はさまざまです。この子には合うけれどあの子には、今一だという現状もあります。
矢部さんたちは、子どもたち一人ひとりに合った読み方を提供することが大事と、そのための努力と工夫、そしてさまざまな連携を模索しながら頑張っています。
私たちも微力ながら今まで通り応援していきたいと思います。
すべての子どもたちの笑顔のために!!

No.329 マルチメディアDAISY図書

伊藤忠記念財団の読書バリアフリー研究会が、渋谷区内のこどもの城で開かれました。
マルチメディアDAISY図書(わいわい文庫)への音源を提供している私たちにとって、現場の先生方の声が聞けるのは、ありがたいことです。

ただマルチメディアDAISY図書の児童書は、極端に数が少なく、教育現場への周知が、まだまだです。そこで、矢部さんたちは、いくつかの特別支援学校に対して、配布作品の利用研究をお願いし、成果を発表してもらう場として、今回のような会を開いています。

やはり「本気の一人」が大切です。そして、その先生を支える周りの理解・応援が必要です。
現場の先生方は忙しいです。その中にあって、子どもたちのためにと、一歩踏み込んで試行錯誤する先生がいるかどうか。
よしんばそういう熱心な先生がいたとして、その先生が異動になったりするととたんに、図書の寄贈はけっこうですと、お断りがくることもあるそうです。
物事、そうそう単純にいかないのは、重々承知の上ですが、何だか悲しいですね。
知的に障害のある子や、本のページがめくれない子は、本は読まないのか、本がきらいなのか。ここに何か配慮があればと、つい考えてしまいます。

ある学校の取り組みのなかで、印象に残ったことです。主に知的障害や自閉症のある子たちが学んでいる学校です。絵があること、その絵がきれいなこと。短い話であること、繰り返しのセリフのあるもの等に関心を持ってもらえた。また演劇調のような読みがよい等々がわかったそうです。
私たちも試行錯誤でやってきましたが、通常の音訳とは別、と考えたほうが、良さそうです。

2014年版の作品のなかに、関西弁で書かれている「おこだでませんように」(小学館)が入っています。この読み手には、一番西の名古屋在住の堀尾さんに、お願いしました。会場内でのデモで、私も初めて聞きましたが、よくできています。
先生方にも、「こういうのは、楽しくていいですね、子どもたちにも興味を持ってもらえそう」と声をかけてもらいました。苦労のかいがあったと思います。いずれにしても、このマルチメディアDAISYへの認知度が高まり、活用され、子どもたちの笑顔が見られますようにと、祈らずにはいられません。

矢部さんたちも、企業の取り組みとして、なかなか厳しい面もあるようですが、少数精鋭で頑張っています。めげずに前進あるのみです。微力ですが、ともどもに頑張っていきたいと思います。
会場には、事務局の鶴岡の他に、音ボラネットの会員のみなさん。新潟からも、坂井さんが勉強したいと参加。嬉しいです。

No.324 わいわい文庫

IMDプロジェクト「わいわい文庫」への音源提供に関わって、5年目に入りました。毎回年度末に関係者が集まり、報告やら反省やら、次年度の目標やらを話し合います。今回も3月末に、伊藤忠記念財団の矢部さんたち、千葉の松井さん、プロジェクト事務局の面々と久しぶりにフルメンバーが集まりました。
すでに、2014年度分のうち、13タイトルの原本が、各地の登録音訳者に送付されました。

ところで、初めの2010年度は、児童書31タイトルをマルチメディアDAISY図書にして3月には、全国すべての特別支援学校と大規模都市の公共図書館、合わせて約1200ヵ所に寄贈されました。

当初私たちも、通常の音訳読みではなく、点と丸で忠実に間をとる。読みの早さも、かなりゆっくりめというようなことに、違和感を覚え苦労しました。(今では、かなり通常読みに近いものになっています)

また、矢部さんたちも少ない人手の中で、初めての編集作業に悪戦苦闘。やっと完成した作品を寄贈するも、フィードバックがなかったり、なかなか活用されなかったりと、厳しい立場に立たされたこともあったようです。

子どもたちも自分では、機材の操作ができない子が多く、何事も先生の手が必要となります。その先生方の7割近くが、マルチメディアDAISYを知らない、見たことがないという現状でした。ですから、活用は難しい面もありました。
でもやはり、何事もめげずに続けるということが大切です。今では、「いつもわいわい文庫を使っています」とか「子どもたちが喜んで見ています」という声が寄せられるようになりました。

矢部さんからのある日のメールに、「ある学校の卒業式に参列してきたところです」とありました。今までの積み重ねの結果の信頼関係だと、こちらも嬉しくなりました。私たちも負けてはいられません。
障害のあるすべての子どもたちの読書環境の向上のために、そして何よりも子どもたちの笑顔のために頑張ります。社会的に意義ある事業に参加させていただいているということに感謝しつつ。