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No.356 新聞記事

今年も一年間、大変お世話になりました。会員の皆さまからの励ましには、多くの勇気をいただきました。そしてまた、思いがけない会員外の皆さまからの反響には、嬉しさ半分、身の引き締まる思いがしました。いずれにしましても本当にありがとうございました。

来る年は6月に総会、そしてその2年後には設立10周年の節目を迎えます。また頑張りますので、変わらぬご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

さて、ここにきて嬉しい新聞記事が出ました。12月25日付け朝日新聞東京版に「伊藤忠記念財団 電子書籍を製作」「障害のある子へ180作品無料配布」とB5サイズほどの記事と写真が掲載されました。
ご存知のように、音ボラネットで音源を提供しているマルチメディアDAISYの製作と無料配布のことです。今、実際に製作に携わっているのは、中村さんと矢部さんのお二人です。毎年12月頃は、事務局でひたすら編集作業に追われています。
さまざまなご苦労は、わかったつもりでいましたが、記事になって改めて大変さが理解できました。

合成音声の進化は目まぐるしいものがありますが、あえて時間はかかっても、肉声の持つ温かみにこだわっています。私たちも少しでも質の高い音訳(どちらかといえば朗読?)をと、試行錯誤しています。改めて貴重な活動の一端を担わせていただいていることに感謝しつつ、今後も謙虚に頑張りたいと思います。

ところで、このマルチメディアDAISYが発達障害や視覚障害、肢体不自由、自閉症などに有効であると言われているのは、私たちにとって常識のようになっています。しかし、必要としている子どもたちが確実にいるのに、保護者や先生、図書館職員等のみなさんに知られていません。
ここが大きな問題です。矢部さんたちとしても、学校、図書館、院内学級など配布先を増やすべく、全国を回っています。

そこですべてのみなさまにお願いです。このマルチメディアDAISYのことを、折に触れ語っていきませんか。どんなにすばらしい活動であっても必要とする人に届かないのでは意味がありません。
音訳ボランティアだから、読むことだけに専念していればいいという考えもあるかもしれませんが、あっちでもこっちでも声をあげていくことが大切です。それぞれの地域の関係者に「こんなのがあるよ」とアピールしませんか。

すべての子どもたちに読書の楽しみを!と、切に願います。
お問い合わせは、伊藤忠記念財団 03ー3497ー2652です。

No.353 JBBY 40周年企画子どもの本の力展

13日から25日まで伊藤忠青山アートスクエアで、日本国際児童図書評議会(JBBY)主催の「JBBY 40周年企画子どもの本の力展」が開かれました。

「子どもの本を通しての国際理解」という理念のもと、IBBY(国際児童図書評議会)が誕生し、IBBY日本支部として発足したのがJBBYです。すべての子どもたちに読書の喜びを伝え、未来につながる平和の文化を育むことを目的にしています。
伊藤忠記念財団は、「子ども文庫助成事業」を通じて子どもたちの読書啓発活動に携わっている団体や個人を助成する取り組みを長く続けています。

だいぶ色づいた外苑の銀杏並木を眺めながら、新宿の南部さんと会場へ。中島事務局長、矢部さん、中村さんたちに出迎えていただきました。

フロアは、第1部から第4部までわかれていて、東日本大震災後に出版された子どもたちの本、「奇跡の一本松」「つなみ」「さくら」など並んでいます。また児童書の電子化ということで矢部さんたちの「わいわい文庫」のコーナーがありました。美智子皇后さまや紀子さまもお出ましになられたとか。障害のある子どもたちの読書について、多くのみなさんに知っていただける素晴らしい機会だったのではないでしょうか。

ところでこのIBBY主催の「子どもの本のノーベル賞」とも言われる国際アンデルセン賞(作家賞と画家賞)があります。過去、詩人のまど・みちおさんが、同作家賞を、また画家賞を安野光雅さんが受賞されています。(因みに2014年度の作家賞の受賞者は上橋菜穂子さんです)

そこで、『「どうぶつたち」まど・みちお詩、美智子選・訳、安野光雅絵  すえもりブックス』という作品のことを知りました。そして「すえもりブックス」という出版社が気になりました。絵本の編集者だった末盛千恵子さんが設立したものでした。(現在はありません)

この方はある日、不本意ながら住み慣れた都内から盛岡へ移転。直後に東日本大震災に遭遇。何かできないかというやむにやまれぬ思いから、3.11絵本プロジェクトを立ち上げます。国内外から23万冊もの絵本が集まり、子どもたちの手に渡されます。このようなことを含めた、決して平坦ではないご自身の半生を語る講演会の内容をネットで見つけました。心打たれました。今回の展覧会での子どもたちの本つながりです。

そしてまた不思議なことに、今年3月に福岡のグループが発足30年を迎えたお祝いの集まりに呼んでいただきました。おまけでほんの半日、一人長崎まで足を伸ばしたことがありました。その時、駅近くの坂を上った(長崎は坂の町でした)西坂公園にあったブロンズ像に心ゆさぶられました。制作者は彫刻家の舟越保武さんという方です。

この舟越さんのご長女が末盛さんであるということを知りました。
これもまた一つの出会いではないでしょうか。