No.462 「盲ろう者への情報支援ワークショップ―光と音を伝えるためにできること」

都内麹町の日本文藝家協会で第58回出版UD研究会が開かれました。

テーマは、「盲ろう者への情報支援ワークショップ―光と音を伝えるためにできること」です。

初めに国立特別支援教育総合研究所の星祐子先生から「盲ろう者」とは、というお話を伺いました。続いて盲ろう疑似体験がありました。
最後に筑波技術大学院生の森敦史さんによる「盲ろう者の情報保証について」がありました。大変わかりやすい、流れのよいプログラムでした。

盲ろうと者とは、視覚と聴覚の両方に障害がある状態で視覚障害と聴覚障害の手帳を合わせ持っている人のことです。全国盲ろう者協会の実態調査によれば、14,000人とのこと。しかし、片方だけの手帳保持者もいて、実際には、20,000人とも言われています。

ところで、盲ろうがもたらす独自の困難性、ニーズ、教育に必要とされる専門性ゆえに、盲ろうを独自の障害として位置付けている国があります。けれど日本では、盲ろうを単一の障害とはとらえられていません。つまり、重複障害の一つとしてとらえているということです。

それ故、現場の先生方は、盲ろうについて、しっかり学ぶ機会がほとんどないという指摘には、この障害の持つ困難さを思いました。

さて、ワークショップでは、二人一組となり、お互いアイマスクに耳栓をして、手書き文字で会話をしました。

盲ろう者が文字を知っていることが、前提となりますが、手のひらに指で文字を書いて言葉を伝える方法です。
先ず「ワタシハ〇〇デス」と書きます。ひらがながいいのか、漢字の方がわかりやすいのか、悩みました。

こんな短い文章ですら、読み取ることが難しい。長い文章になったらどこで区切るのかとか、ますますわからなくなるなあと思いました。

もうひとつは触察です。袋のなかに入っている点図に触り、その形を描いてみます。全くわかりません。

視覚障害当事者の松井さんや宮崎さんは、さすがです。きれいな形を書き出していました。

最後に森さんのお話です。先天性の盲ろうの当事者です。一般大学を卒業の後、筑波技術大学初の盲ろうの大学院生になりました。

点字(指点字、点字ディスプレイ等)と手話(触手話等)を使い分けています。
単なるろうの場合は、目で確認できるが、盲ろうの場合は、状況の把握ができない。視覚や聴覚の単独障害に比べ、何倍もの支援が必要です。
回りにあるたくさんの情報を伝えてほしいが、100%はつかめない。
森さん自身、盲ろう学生視点での情報保証について、大学や支援者に要望。
しかし、何を要望すべきなのか、適切な情報保証とは何なのか、わからないということがあるとのこと。

授業においては、触手話通訳に加え、パソコンを活用した通訳などの方法を実践しています。遠隔文字通訳のことを興味深く伺いました。

パソコン通訳はどこにいてもできます。
例えば、声をマイクで拾い、沖縄の支援者に飛ばす。そこでパソコンに入力して大学に送る。森さんのパソコンには、点字ディスプレイが接続されています。

とまあ、こういうようなことらしいです。

困難ななかにも、さまざまな支援を受けながら頑張っています。

懇親会では、直前のキャンセルのおかげ?で余ってしまった料理を、回りから、一番若いんだから食べられるでしょ!と進められて、好きなビールとともに平らげる姿は、どこにでもいる若者です。
就職もしたいという夢がかないますように。
大変貴重なワークショップでした。

2 thoughts on “No.462 「盲ろう者への情報支援ワークショップ―光と音を伝えるためにできること」”

  1. こんにちは。
    いつもありがとうございます。

    視覚と聴覚の重複障害の支援の方法も触手話や指点字の他に、
    パソコンの通訳があるのですね。
    需要に対応出来る支援者の確保も気になるところですが、盲ろう者自身が設定でき、長時間の音声を適切に点字に変換できるのなら素晴らしいですね。

  2. 【追記】申し訳ありません。
    昨夜の投稿で誤解されてしまう箇所があるかもしれませんので追記させて下さい。
    m(__)m
    「障害者自身が設定出来れば」の件です。
    これは、障害者がオンオフ等や設定を自身の好きな時に自在に扱えたり出来れば良いと思いました。
    「今のをメモに残したい!」と思う時に出来ればとの、視覚障害者で言う自炊感覚の意味です。

    講義や授業の内容を点字のメモが残るのならば、重複障害だけでは無く、視覚障害だけの人でも便利ですね。
    自動点訳機があるのは知っていますが、リアルタイムで、点訳で内容を認識し、ノートが取れるのですもの!。

    いつも情報ありがとうございます。

    山(やま)

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