No.511 広沢里枝子さんの瞽女唄

2回の延期を経て、広沢里枝子さん(広沢さんについては、3月29日発行の会報で紹介しています。ぜひご覧ください)の瞽女唄コンサートが、埼玉県鴻巣市で開かれました。

萱森さんはじめ何人かの瞽女唄を聞いたことはありましたが、広沢さんのコンサートは初めてです。

丁度1年前に大怪我をし、それを乗り越えてのコンサート。

広沢さんの挨拶の中で「たくさんのみなさんに助けていただき、応援していただき、演奏できるまでに回復しました。心から嬉しく感謝の気持ちでいっぱいです。この嬉しい気持ちを爆発させて、みなさんに喜んでいただける演奏をしたい」とおっしゃっていました。

その言葉通り、はじけるような笑顔が印象的でした。

人間国宝であり、最後の瞽女と言われた小林ハルさんの最後の直弟子である、萱森直子さん(さずきもんたちの唄の著者)のお弟子さんです。

私の知る限り視覚障害の瞽女唄奏者は、広沢さんだけではと思います。もし違ったいたらごめんなさい。

瞽女唄とは、そもそも盲目の旅芸人のものでしたから、広沢さんに引き継がれたことは、素晴らしいと思います。

先ずは門付け唄、門口(玄関)に立ち、今年も来ましたよと短い唄を歌います。

広沢さん、自宅の玄関前に立ち家の中にいる人に声が届くように練習したとか。

寒声(かんごえ)と言い、寒中に声を出して喉を鍛えておくといい声が出るという修行があります。

小林ハルさんも幼少の頃、川向こうの人に声が届くように、雪が舞い風が吹き付ける川の土手に上がって修行していた様子が、映画「瞽女 GOZE」にありましたっけ。

広沢さんもお腹の底から声が出ている感じ。この声を聞く人に伝えずにおくものか、という気迫のようなものすら感じられました。

段物と呼ばれる「祭文松坂 葛の葉」もよかった。

後半は、姉弟子の小関敦子さんとの掛け合いで歌う瞽女唄。

そして三味線の伴奏がない「瞽女萬歳」、面白かったです。

最後は、映画「瞽女 GOZE」の瀧澤監督から、映画のこぼれ話的なお話しを伺いました。

広沢さんとはもちろん、瀧澤監督ともお話しができました。やっぱりこうでなくてはと、嬉しくなりました。

広々とした田園風景、菜の花が一面に咲いている荒川土手。

会場の「カフェ・ホール・ギャラリー紫苑」は歴史を感じさせる母屋やお庭。丁度、白木蓮が満開でした。

その庭の奥には、漆喰の蔵がありました。

ステキなコンサートでした。

お世話になりましたみなさま、ありがとうございました。

2 thoughts on “No.511 広沢里枝子さんの瞽女唄”

  1. 藤田様
    先日の瞽女唄コンサートにはるばるお越しいただき、また心のこもったライヴレポートを掲載していただきましてありがとうございました。
    駅から紫苑までの送迎をさせていただきました神山と申します。Facebookにて「広沢里枝子さんの瞽女唄コンサート応援するグループ」という公開グループをゆっくり運営しております。もしよければ、「藤田が行く!NO.511 広沢里枝子さんの瞽女唄」を、公開グループでもご紹介させていただけましたら幸いです。
    こちら、土手は、なんキロにも続く満開の菜の花で真っ黄色に発光して、元荒川の桜堤も満開になりました!! 瞽女唄が春を呼び寄せてくれたようです。

    1. 神山さま
      その節は、ありがとうございました。
      私も友人も方向音痴で、車での送迎は助かりました。
      どうぞご遠慮なくお使いください。 藤田

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