No.273 英語の教材

昨年の11月頃だったでしょうか。都内某有名私立大学の学部長から、連絡がありました。
弱視の学生のために、学内のインターネット環境を整えようと、業者に依頼してみたものの、どうもうまくいかない。
OCRの機材やソフトについて、アドバイスしてくれる人を紹介してもらえないかと。
即、お馴染みの千葉の松井さんに繋ぎました。
英語のOCR環境について知りたいということだったので更に、東大の先端科学技術研究センターの近藤先生を紹介してくださったそうです。
やれやれと思っていると、大学から再度連絡が入りました。
おかげさまで、東大のコミュニティに通うことになったが、すぐにというわけではないので、準備が整うまで、教材を録音してもらえないかと。
まずは、全て英語という教材を音訳してくれる人を、急ぎ探さなくてはなりません。
います、います。谷さんのところの「山びこ」には、英語や仏語など数ヶ国語に対応できる人たちがいたはずと、あわててかけた先が、名前は「やまびこ」でも違うグループでした。
でもこちらにも、英語可という人がいるということが判明。嬉しい間違い電話になりました。
早速に、この二つのグループのみなさんに、引き受けていただきました。
大学側も含め、顔を合わせての打合せを提案。ボラセンに集まっていただきました。
大学側の意向、当事者のこと、だいぶ様子がわかりました。
今までは、学内の学生にICレコーダーで録音してもらっていたそうです。
ということは、クオリティが求められるというよりは、それなりに英語が読めて、早く録音資料を提供できることが、最大の条件だと、理解しました。
また、教材の分量が増えた場合、3名の音訳者の他に、人員を確保しておいたほうが、良さそうです。
音訳者のバイリンガルの家族。目下、音訳は勉強中、でも英語が堪能な人。こういう人たちもいるのですね。待機しておいてもらえば、大丈夫。
で、試しに音訳したものを、大学側に聴いてもらったところ、教授たちもびっくりするほどの出来栄えだったとか。さすが音訳者。
これで、何とかいけると思っていた矢先。
当の学生が、4月以降、予定していた授業をとらなくなったと連絡がありました。
拍子抜けしました。
しかし、東大に通って、点字も学ぶそうです。
思うにこの学生は、弱視だったということもあり、視覚障害者としての生活や学習に対する訓練を系統だって受けてこなかったのでは、と思われます。
保護者が、横浜から車で送迎。大学へのさまざまな要望も保護者を通じてということが多かったと聞きました。
きっとこの学生にとっては、自立への1年になるのではないでしょうか。
また、何かお手伝いできることがあれば、協力しましょう。多忙ななか、準備を整えて待っていてくださったみなさん、申し訳ありませんでした。
ありがとうございました。
ところで近年、視覚障害者の大学進学率がすこーし、あがっているようです。
合理的配慮を求められる大学側も、そういう学生に対するノウハウがないとなかなか大変だと思います。
その上、外部団体との連携がないと、更に苦労することでしょう。
初めは、あちこち電話をかけまくりました。
最後に「音ボラ」という、いい団体に出会えましたと、学部長からお礼を言われ、少しホッとしました。
いろいろなことがあります。

2 thoughts on “No.273 英語の教材”

  1. 連絡調整大変でしたね。お疲れ様です。
    しかし、さすが音ボラ会長、ネットが広いですね。感服です。
     
    近況です。
    ついに塩原視力障害センター廃止、所沢へ統合されました。
    頼りにしていた存在なので心細くなります。
    その代り、旧いプレクストークやパソコン、拡大読書機などをたくさん譲り受けました。
    有効活用しなくては・・・・・
    プレクストークはテープ廃止に向けて、拡大読書機はロービジョンの方や図書館へ、パソコンはデイジー録音編集者や音声パソコンサポート者などの養成に、といろいろもくろみはあるのですが・・・・
    ミニミニサイトワールドは、社協、市、福祉大などの協働で、継続開催へスタートしています。少しづつ内容を良いものにしなくては。
    読み書き支援の「アイサポート那須」も総会を終え、2年目へスタートです。一歩づつ前へ、ですね・・・・・・
    総会に向けての準備作業も大変と思います。満開の桜で少し癒されますよう。

    1. 松木さま
      藤田です。
      いつも早速にコメントをお寄せいただきありがとうございます。
      もっと多くのみなさんが、感想なり意見なり近況なりを、お寄せくださるようになるといいですね。
      気楽に。
      塩原視力障害センターの廃止は、いかに時代の流れといえど、寂しいかぎりです。
      周辺の視力障害のみなさんは、何かあれば、所沢まで出向くということでしょうか。
      不便になりますね。
      松木さんのことですから、くさらず前にすすんでいかれることでしょう。
      お互い、楽しみを見つけながら頑張りましょう。
      都心の桜は、満開です。
      桜の季節は、何だか慌ただしい気分にさせられます。

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