N0.424 全国患者図書サービス連絡会 講演会

直前のMLで流れてきた情報でした。
参加申込みはしたものの、ドタキャンしようかと思ったくらいの暑い暑い午後でした。

上記連絡会主催(会場、日本図書館協会)、「さまざまな立場の当事者が情報リテラシーを育む場としての図書館」というテーマの講演会です。

始めは、読書工房代表の成松一郎さんから、「図書館員に必要なアクセシビリティをマネジメントする力」
「図書館利用に障害ある人々へのサービス」というコンセプトが、いつか単純に「障害者サービス」と短縮されて使われているケースをよく見かける。それによって図書館関係者の一部に通常の図書館サービスの他に「障害者のための特別なサービス」をしなければならないという誤解が生じやすいのでは、という言葉が特に印象に残りました。

もう一つの講演は、患者ボランティアの立場で、「患者にとって本当に必要な情報リテラシーの話~当事者が伝える立場になって見えてきたもの」~
京都の森田茂樹さんからです。

森田さんとは、何度かお目にかかったことはあります。新潟では、笹だんごに触って味わっていただいたこともあります。でも森田さんの活動をまとまった形で伺うのは初めてです。

ある日、網膜色素変性症と診断され、進行を遅らせることも、治すこともできないと言われ、ある視能訓練士からは、失明の宣告をされた方です。

その後、拡大読書器の存在を知り、専門家を信じない、自分で調べるをモットーに機種の選択、設置場所の工夫など徹底して比べて確かめて、僅かでも残っている能力を生かす可能性を追求。

読める人は書ける人なんだと訴えてきました。
0.04以下の視力の人は視野(見える場所)もあるけれど、拡大読書器は使えないと言われていたそうです。

森田さんはこれは、無知によるウソ、と断言されていました。

「見えている人に、見えにくい人の見え方は、わからない」重い言葉です。

この経験を伝えることによって、読み書きできるロービジョンの方を増やせたらと活動を始めました。

京大、京都府立大、東大、阪大等、もっとも多い時で8ヶ所の病院で補助具の説明ボランティアとして、ロービジョンケアに携わってきました。

きっかけは、最終的に受診した京大病院眼科、担当ドクターに「ダメ元」で「患者さんに私の体験を情報提供させてください」と申し出、思いがけず、快く暖かく受け入れてもらえたそうです。

そのドクターこそ、治そうと思って診ているのに最終宣告しかできないと絶望を抱えていた、高橋政代先生だったとのこと。
現在、理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクトリーダーです。

大阪の堀さんの紹介で名刺交換させていただいた時、当会のリーフレットもお渡ししました。

「私たちもこれからは、いろいろな所と連携していかなくてはいけない。ぜひよろしく」とおっしゃいましたが、この森田さんのエピソードを伺い、やはりと一人大きく頷いてしまいました。

暑さを忘れる充実の講演会でした。出掛けて当事者のお話を伺うことは、大事だとしみじみ思いました。

みなさま、ありがとうございました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です