No.280 読書バリアフリー研究会に参加して

「電子図書(マルチメディアDAISY図書)は、特別支援を受ける子どもたちに読む喜びを伝えられるのか」が開かれました。
障害があるために、通常の紙の本では、読むことが、難しい子どもたちがいます。
そんな子どもたちへの読書支援を目的に児童書をマルチメディアDAISYにして配布する事業を実施しているのが、伊藤忠記念財団の矢部さんたちです。
私たちの活動は、もともと視覚障害者支援からスタートしているわけですが、視力にも知力にも問題はないのに文字認識に困難を抱える子どもたちの存在を知りその子(視覚障害も含む)に有効と言われるマルチメディアDAISY図書を知り、協力をしてきました。それがどのように活用されているのか、知りたいことではありました。今回、肢体不自由の特別支援学校や院内学級の先生方からの生の発表は、大変ありがたく、励みになりました。
ここに、都立八王子東特別支援学校の先生のお話を、かいつまんで、記してみます。
まず、だれもが本好きになる図書館作りからスタート。
スライドを見ながら、さまざまに工夫された八東の図書館に私も行ってみたいと思いました。
さて、子どもたちの毎日は、忙しい。支度やトイレなど、一つ一つの動作に時間がかかる。家でもじっくり読書する時間がない。
そして、本は重くて持てない。ページをめくれない。読んでもらうとよくわかるけど、自分で読むと意味がわからなくなる。文字を読みとばす。など、子どもたちは、難しさをいろいろ抱えている。
また、さまざまな障害があり、重複もあって、ニーズも十人十色。
そこで、iPadやiPodの貸し出しを開始し、スクールバスで聴く読書が始まる。
タブレット端末を使うことによって持てない、めくれない、押さえられない、読めない、どこを読んでいるかわからない、といった心配がなくなった。
そして、子どもたちも、iPodがない時は、バスの中が退屈だったけれど、今は、本が読めて楽しい。パソコンより、iPadの方が使いやすいと、言っているそうです。以上のようなことを伺って、本気の一人が大切。そして、その先生の取り組みを受け止め支える同僚の先生方や学校側の理解があってこそ、可能なことと、感動しました。
こういう取り組みが、広がっていったらいいですね。
最後の私の挨拶のあと、ある先生から、「作ってくださっている方の話を聞けたことが、参加して一番よかったこと」と言われました。
また八東の先生も冒頭、ボランティアのみなさんにお礼をと。
参加して、励まされました。
ありがとうございました。
最後に江戸川特別支援学校の校長先生が、「児童書だけではない。写真集だとか、もっと他のものも読ませてあげたい」、そして、「機材の操作などに関しても、現場の先生方だけでは、とても間に合わない。ボランティアの力も必要」と言われたことが、耳に残りました。
この後、6月29日(土) 1:00~5:00
宮城県視覚障害者情報センターでも、この「読書バリアフリー研究会」が開かれます。
一人でも多くの先生方や図書館の方、ボランティアのみなさんに参加していただきたいと思います。
支援の輪が大きく広がることを祈ります。

5 thoughts on “No.280 読書バリアフリー研究会に参加して”

  1. 研究会では、ボランティアの方々にようやくごあいさつができほっとしました。音ボラさんの活動を拝読し、支援の必要な一人の高校生のために立ち上がる様子に感激しました。各地のボランティア団体の方が、DAISY教科書をできた箇所から次々にアップしている様子を、メールで毎日見ていて、きっと一日でも早く子供達に届けたい一心で、作業されているのだろうなあと思っていましたが。
    今後益々皆様方のご活躍に注目したいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

    1. 羽鳥先生
      藤田です。
      当方のHP、ご覧いただき、暖かいコメントをお寄せくださいまして、ありがとうございます。
      微力ながら、お子さんたちの「学び」を支えられますよう、頑張りたいと思います。
      これをご縁に、今後ともよろしくお願い申し上げます。

  2. 〆切直前の申し込みで、6月29日の仙台の研究会に参加してきました。
    図書館や教育委員会が今一前へ進んでいただけないところで、さて、どうしようかと思っていたところに、本HPの「藤田が行く」や事務局案内で思い立ち参加しました。
    主催の矢部さん他、専修大の野口先生、東大の河野先生、読書工房の成松先生のお話を聞き、とても勉強になりました。
    おかげで乏しい知識が少し広がりましたし、いただいた事例集①も早速眼を通し、”橋渡し”になることに、ちょっと、いや強くかな!脊中を押されました。
    具体的な取り組み策もイメージできましたので、早速にアタックしてみます。
    結果は、またご報告します。いつになるかなあ・・・・
    学習の機会を与えて下さった矢部さんありがとうございました。
    翌日は、仙台の仲間「アイサポート仙台」さんの主催する「eye eye 福祉機器展」へ。
    10月に当地でもミニミニ版の「お役立ち講座」をやりますので、参考になればと思って行ってきました。来場者も多く、各ブース順番待ちでとても盛況でした。大都会であることや交通の便がいいことなどもあるでしょうが、何より推進する皆さんの継続した熱意が実ってきているのだと思いました。
    いくつかのブースでお話を聞き(来場者に邪魔にならないよう)、来場者の数人の方ともお話ができました。
    こちらも頑張りまーす。
    アイサポート仙台」の皆さんお疲れさまでした。
    いつもHPで情報を提供していただいている藤田会長、「音ボラネット」の皆さん、ありがとうございます。ジャンジャンの情報発信、今後も期待していまーす。

    1. 松木さま
      総会の日の懇親会の席で、矢部さんに29日の宣伝をしていただきました。
      私も上記のように、書きました。
      何人かの会員のみなさんが、申込みをされていると、矢部さんから伺っていました。
      呼び掛けに応じてくれる人がいる。ありがたいです。
      一人の力なんて、たかが知れていますが、一人また一人と理解者が増え、その人たちからまた、次の人にという風に広がっていったら、一人の力も捨てたものではありません。
      松木さんのアイディアと行動力に敬意を表します。
      ともどもに頑張りましょう。

  3. 藤田様、羽鳥先生、松木様
    いつもお世話になり、ありがとうございます。
    また、私どもの事業に深いご理解を頂き、ご支援を頂いておりますこと、心から感謝申し上げます。
    受講生が少なく悲鳴をあげておりました仙台講座も、お陰様で32名の方にご参加いただき、無事に終了することが出来ました。アンケートからも概ねご満足いただけたことがわかり、一息ついています。音訳ネットワークの方も5名ご参加頂きました。ありがとうございました。
    これからも、読むことに困難がある子どもたちへのお手伝いをめざし取り組んでまいります。
    どうぞ変わらぬご支援を頂けますよう、お願い申し上げます。

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