音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.357 2015年も始動

午前中は、運営委員会。
6月8日9日に開催予定の総会・分科会に向け、おこたりなく準備を進めているところです。
全員に満足してもらえるようなものは、できませんが、時間やお金をかけて集まってくださるみなさんが、少しでも参加してよかった、音ボラネットがあってよかったと感じてもらえるような会にと、事務局一同頑張っています。

さて午後は、日盲連での松井さん(千葉県立西部図書館)の講演です。私たち音ボラネットテキスト化プロジェクト事務局のメンバーが、実践講習をお引き受けしている講習会での一コマです。「視覚障碍者の読書環境におけるテキストボランティア活動の意義と今後の展望について」を、興味深く伺いました。

正直、松井さんの講演は、もう何回目になるでしょうか。でもさすがと思うのは毎回、目新しい情報をひっさげて乗り込んでくるといった感じです。足元にも及びませんが、ぜひ見習わなくてはと思います。

また今回は、発表協力者として、このホームページのことで、アドバイスいただいている、(株)インハウスDSの高岡さんからも補足の話がありました。
同じようなことでも人が代わるとよりわかりやすいということもあります。

さて今回、松井さんはコンパクトな自炊用のスキャナーを持参、実践して見せてくれました。
音声ソフトにつないでいるので、スキャン即読み上げが可能です。間違えて上下逆さまにセットしても、大丈夫です。音声が教えてくれますし、置きなおさなくてもOKです。

たとえば、職場等で当日配布された紙の会議資料が、自宅で読めるということです。きちんと読みたいもの、ボリュームのあるものは、ボランティア等による校正が必要となるでしょう。
でもチラシや資料等は、サポートする人の手を経なくても、当事者自身でいち早く確認できるというわけです。図や表のあるものは、やっかいではありますが。
少なくともその紙に書いてあることについては、全部正確にわからなくても、どういう情報なのかというのは、わかります。ものにもよりますが、それで十分なことも多々あります。

さてさて、まだ多くの人は、再生機器をパソコンと限定してとらえているのではないでしょうか。私は少し前まで、そう思っていました。パソコンがなくては無理と。
今は違うのです。携帯に便利なタブレット端末が進化しているということを教わりました。

今年もまた、様々な機器の進化の年となることでしょう。
私たちは、どう向き合えばいいのか。また、みんなで考えていきましょう。

今年もよろしくお願い申しあげます。

No.356 新聞記事

今年も一年間、大変お世話になりました。会員の皆さまからの励ましには、多くの勇気をいただきました。そしてまた、思いがけない会員外の皆さまからの反響には、嬉しさ半分、身の引き締まる思いがしました。いずれにしましても本当にありがとうございました。

来る年は6月に総会、そしてその2年後には設立10周年の節目を迎えます。また頑張りますので、変わらぬご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

さて、ここにきて嬉しい新聞記事が出ました。12月25日付け朝日新聞東京版に「伊藤忠記念財団 電子書籍を製作」「障害のある子へ180作品無料配布」とB5サイズほどの記事と写真が掲載されました。
ご存知のように、音ボラネットで音源を提供しているマルチメディアDAISYの製作と無料配布のことです。今、実際に製作に携わっているのは、中村さんと矢部さんのお二人です。毎年12月頃は、事務局でひたすら編集作業に追われています。
さまざまなご苦労は、わかったつもりでいましたが、記事になって改めて大変さが理解できました。

合成音声の進化は目まぐるしいものがありますが、あえて時間はかかっても、肉声の持つ温かみにこだわっています。私たちも少しでも質の高い音訳(どちらかといえば朗読?)をと、試行錯誤しています。改めて貴重な活動の一端を担わせていただいていることに感謝しつつ、今後も謙虚に頑張りたいと思います。

ところで、このマルチメディアDAISYが発達障害や視覚障害、肢体不自由、自閉症などに有効であると言われているのは、私たちにとって常識のようになっています。しかし、必要としている子どもたちが確実にいるのに、保護者や先生、図書館職員等のみなさんに知られていません。
ここが大きな問題です。矢部さんたちとしても、学校、図書館、院内学級など配布先を増やすべく、全国を回っています。

そこですべてのみなさまにお願いです。このマルチメディアDAISYのことを、折に触れ語っていきませんか。どんなにすばらしい活動であっても必要とする人に届かないのでは意味がありません。
音訳ボランティアだから、読むことだけに専念していればいいという考えもあるかもしれませんが、あっちでもこっちでも声をあげていくことが大切です。それぞれの地域の関係者に「こんなのがあるよ」とアピールしませんか。

すべての子どもたちに読書の楽しみを!と、切に願います。
お問い合わせは、伊藤忠記念財団 03ー3497ー2652です。

日本点字図書館での視覚障害者と支援者のための防災イベントのお知らせ

2015年1月17日(土)日本点字図書館 3階において、視覚障害当事者と支援者の双方に参加し ていただきたい防災イベントを開催いたします。
いつおこるかわからない災害に備えて、支援者となり得る方にはガイドヘルプの体験を、当事者の方へはAEDの体験を!

そして、みなさんにご参加いただきたいのが「情報障害者と防災」のテーマで行う講演です。 視覚障害者は情報障害者とも言われ、非常時にはより多くの情報提供と支援が必要となります。
東日本大震災の際に、視覚障害者支援の第一線で指揮をとった原田敦史氏をお迎えして、どんな情報提供と支援が必要なのかを講演していただきます。

当日は、防災用品の販売も行います。

阪神淡路大震災から20年目のこの日に、できうる自助と共助を再確認し、過去の被災現場で起きた問題点や反省点をシュミレーションすることで、いつやってきてもおかしくない首都直下型地震に少しでも備えることができればと考えます。

多くのみなさまのご参加をお待ちしております。

http://yougu.nittento.or.jp/news_detail481.html

会報「音ボラネット通信」第23号のお詫び

お詫び

12月19日 会報「音ボラネット通信」第23号を、いつものメール便でお送りしました。
おはずかしい話ですが、直後にミスを発見しました。

14ページ「参加して」という寄稿文の右部分の文章、
左端1行が抜けています。本日に差し替え用を送らせていただきました。
暮れのあわただしい時に大変申し訳ありませんでした。

今後このようなことのないように担当一同気を引き締めて頑張りますので、
引き続きご支援・ご協力の程よろしくお願い申し上げます。

平成26年12月21日
全国音訳ボランティアネットワーク
代表 藤田晶子

No.355 初の地方でのテキスト化講習会

福岡市内でのテキスト化講習会は、音ボラネットテキスト化プロジェクトにとって初の出張講習会となりました。そもそも昨年の4月に都内で開いた「テキスト化講習会」に福岡市ボランティア連絡協議会視覚障害部門の川崎さんの姿がありました。その後、本年3月には同グループの創立30周年のお祝いがあり、私が招かれて出席しました。

そして更に5月、音ボラネット主催の「利用者のホンネに迫る」に、またまた、福岡から川崎さんが上京。お会いするたびに、「福岡でも必ずテキスト化に取り組みます。もう少し待ってください。もう少し待っていてください」と繰り返していました。

私たちとしては、東京の事務局だけではなく、地方でもテキスト化に取り組んでくれるところが出てくると、正直、事務局の負担も減ります。利用者もまるで知らない東京の事務局に連絡するより、地元のみなさんに気やすく頼める方が、いいのではないかと考えてもいました。

つまりは、地方での拠点作りを目指したいという思いでもありました。そしてまず、8月には地元福岡市内で北九州市の大木さんにお願いし、受講生にテキスト化のことを広く語ってもらいました。そして更に今回、直接パソコンを使う実践を含めた講習会のために、11月末に事務局総出(古屋、柳下、吉岡、大木、藤田)の初の福岡出張講習会の運びとなりました。

ここで特筆すべきは、ボランティアグループが単独で音訳の傍ら、このテキスト化に取り組むのではなく、福岡市社会福祉協議会ボランティアセンターが、全面的に協力してくださっていることです。協働でここに一つのテキスト化グループを立ち上げようということです。20名に満たない受講生でしたが、逆に講習会としては、ベストな人数です。
熱心な質問もあり、先々が楽しみです。

私たちの今までの経験上、初めての取り組みで行き詰まったり、質問があっても、メールだけのやりとりはやはり厳しいと感じることがあります。

そういうことからも、月1回の集まりを持って進めていきたいという川崎さんの決意にエールを送ります。そしてまた、お隣?の北九州市には当初からテキスト化に関わり牽引力となっている大木さんが控えています。いつでも馳せ参じてくれるはずです。

今後一つのモデルケースとして発展していくことを祈ります。
尚、この講習会の一部に住友ゴム工業株式会社の助成金を使わせていただきました。
ありがとうございました。

No.354 日盲連でのテキスト化講習会

日本盲人会連合(日盲連)点字図書館長の大橋さんから、「テキストデータ製作ボランティア養成講座」の開催に当たり当音ボラネットに、講師派遣の依頼をいただきました。あの3.11直後、あちこちで断られ続けた一利用者からの一本の電話から始まったテキスト化の取り組みです。
2年前にプロジェクトを立ち上げ、全国の皆さまのご協力の下、慣れない取り纏めに苦労しながら、何とか走り続けてきたというところでしょうか。ありがたいことに、未熟な私たちのところに図書館から、講師の派遣依頼がくるようになりました。本来なら逆の話だろうと思うのですが、各図書館においては、まだこれからというところのようです。

今回の日盲連の講習会で私たちは、テキストデータの作成方法についての実践講習を担当します。ここで特筆すべきは、私たちだけで完結する講習会ではないということです。

筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野先生、千葉県立西部図書館の松井さん、筑波技術大学の長岡先生と当事者の代表であり、それぞれの主張をお持ちの皆さま、加えて読書工房の成松さんが一コマずつ担当されます。

そしてまた、東芝とシナノケンシの講習まで予定されています。すでに第1回目、宇野先生からは著作権法のことやマラケシュ条約のことまで、幅広いお話がありました。もしかしたら初心者には、少しハードルが高いかなと思いましたが、大切なことです。

音訳者の養成講座でも、ここまで踏み込んだ講習会を私は知りません。予算的なこともあるでしょうから、こういうスタイルの講習会がどこでもできるわけではないかもしれません。

しかし、技術的なことにのみ走るのではなく、目的やその背景、意義などを知ることは大きな意味のあることではないでしょうか。

さて、今日は第2回として、当テキスト化プロジェクトの柳下が担当。おかげさまで無事終了。今後もそうそうたる皆さまから学びながら、気を引き締めて望みたいと思います。

「マラケシュ条約」に関するラジオ番組のお知らせ

藤田が行くNo.351(11月13日)で取り上げている「マラケシュ条約」に関するラジオ番組のお知らせです。
30日の夜7時30分からマラケシュ条約に関する開設がラジオで放送されます。出演は文化庁国際課の専門官です。放送はNHKラジオ第2放送「視覚障害ナビ・ラジオ」になります。ネットの「らじるらじる」でも聞くことができますので是非おききください。
再放送は12月7日の朝7時30分~になります。

No.353 JBBY 40周年企画子どもの本の力展

13日から25日まで伊藤忠青山アートスクエアで、日本国際児童図書評議会(JBBY)主催の「JBBY 40周年企画子どもの本の力展」が開かれました。

「子どもの本を通しての国際理解」という理念のもと、IBBY(国際児童図書評議会)が誕生し、IBBY日本支部として発足したのがJBBYです。すべての子どもたちに読書の喜びを伝え、未来につながる平和の文化を育むことを目的にしています。
伊藤忠記念財団は、「子ども文庫助成事業」を通じて子どもたちの読書啓発活動に携わっている団体や個人を助成する取り組みを長く続けています。

だいぶ色づいた外苑の銀杏並木を眺めながら、新宿の南部さんと会場へ。中島事務局長、矢部さん、中村さんたちに出迎えていただきました。

フロアは、第1部から第4部までわかれていて、東日本大震災後に出版された子どもたちの本、「奇跡の一本松」「つなみ」「さくら」など並んでいます。また児童書の電子化ということで矢部さんたちの「わいわい文庫」のコーナーがありました。美智子皇后さまや紀子さまもお出ましになられたとか。障害のある子どもたちの読書について、多くのみなさんに知っていただける素晴らしい機会だったのではないでしょうか。

ところでこのIBBY主催の「子どもの本のノーベル賞」とも言われる国際アンデルセン賞(作家賞と画家賞)があります。過去、詩人のまど・みちおさんが、同作家賞を、また画家賞を安野光雅さんが受賞されています。(因みに2014年度の作家賞の受賞者は上橋菜穂子さんです)

そこで、『「どうぶつたち」まど・みちお詩、美智子選・訳、安野光雅絵  すえもりブックス』という作品のことを知りました。そして「すえもりブックス」という出版社が気になりました。絵本の編集者だった末盛千恵子さんが設立したものでした。(現在はありません)

この方はある日、不本意ながら住み慣れた都内から盛岡へ移転。直後に東日本大震災に遭遇。何かできないかというやむにやまれぬ思いから、3.11絵本プロジェクトを立ち上げます。国内外から23万冊もの絵本が集まり、子どもたちの手に渡されます。このようなことを含めた、決して平坦ではないご自身の半生を語る講演会の内容をネットで見つけました。心打たれました。今回の展覧会での子どもたちの本つながりです。

そしてまた不思議なことに、今年3月に福岡のグループが発足30年を迎えたお祝いの集まりに呼んでいただきました。おまけでほんの半日、一人長崎まで足を伸ばしたことがありました。その時、駅近くの坂を上った(長崎は坂の町でした)西坂公園にあったブロンズ像に心ゆさぶられました。制作者は彫刻家の舟越保武さんという方です。

この舟越さんのご長女が末盛さんであるということを知りました。
これもまた一つの出会いではないでしょうか。