音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.176 視覚障害教師の会

視覚障害教師の会の拡大役員会(12月26日・27日)の開催にあたり音ボラネットの事務局の平井を通してサポート依頼がありました。この会は年2回大阪と東京で開かれているものです。そして夏期研修大会があります。今回は各地から20人ほどの先生が参加されていました。

さて26日は、平井とそのグループのみなさん、27日は、同じく事務局の泉、藤田、そして娘までかりだしました。会場は宿泊も可能な東京都身体障害者総合スポーツセンターです。主な内容は講演会や会議、教科別交流会、そしてオプションとして街に出て落語鑑賞や食事会などもあります。私たちのお手伝いの主なものには、食事の案内、移動の付き添い、トイレの案内等があります。暮れの混雑している池袋に出ました。シャトルバス組と電車組に分かれてしまいました。食事会の会場や演芸場にご案内するのは、少し不安でした。下調べが必要だったかもと思っていると、猫の手の娘が頑張ってくれました。こういう時、機転のきくフットワークの軽い若い人は、いいなあとしみじみ思いました。話がそれましたが、以下、私が感じたことです。

単純には比較できないそれぞれのご苦労があります。しかし、見えない先生が、見えない子どもたちを教えるのと、見えない先生が、見える子どもたちを教えるのとではやはり、後者の方がより困難を伴うと感じます。視覚障害の先生方がその良さと力を発揮するためには、現場の校長先生以下、回りの先生方の理解と協力が不可欠です。でも、なかなか厳しい現状もあるようです。

そういう中にあって、あるベテランの先生が、一人ひとりがスキルアップへの努力をする、そして一つでもキラリと光るものを持つことが大切とおっしゃっていました。感動しました。このことは、障害があるとかないとかに関わらず、私たちにも言えることではないでしょうか。視覚障害の先生が普通校の教壇に立つために、その先生をサポートする複数のボランティアが必要だと思います。日々の教材やプリントを読む人たちです。ここで思うことですが、もちろん十分ではない小説等を読むことも大切です。しかし一人ひとりが自立した生活を送るために、生活情報や専門情報もまた必要なのです。ある先生がおっしゃっていました。特別上手でなくていい、早く読んでほしいと。

ベテランの先生ともなるとご自分でそういうボランティアをみつけ上手にサポートしてもらっています。でも若い先生やあまり行動力のない先生は、どうしたらいいのか悩み孤立しそうなケースもあるようです。すでに京都の福知山の先生がサポートを探しているようです。今、京都の方々にお尋ねしているところです。情報をお寄せください。

No.175 報告会に参加して

12月23日、日本リハビリテーション協会主催の報告会「DAISY教科書を活用した読みの困難な児童・生徒に向けた支援」が開かれました。マルチメディアデイジー図書の製作(音声のみ)に協力している私たち音ボラネットIMDプロジェクト事務局6名全員での参加でした。 学校の先生、保護者、教育関係者等の事例報告がありました。会場戸山サン ライズ大研修室一杯の参加者でした。中には、顔見知りの音ボラネットの会員や図書館職員もちらほら。神戸、奈良等遠方からも参加していました。

主催のリハ協では、「教科書バリアフリー法 と著作権法の改正により、ボランティア団体の協力を得て、通常の教科書が読めない小・中学校の児童・生徒にDAISY形式のデジタル教科書を提供。今年の10月からはネット配信も始まり、無料でDAISY教科書が手に入る環境が整った。

しかし、来年度の教科書改定や製作ツールの整備など、ボランティアベースでは解決できない課題も抱えている」現状だそうです。 現場の先生の工 夫をこらした実践報告の中で「音読練習で音声ガイドを聴きながら、声を合わせて読む場面で、声が選べたらいい、つまり聴きとりやすい声がいいという希望が出た」と言われていました。音訳者として身につまされますね。

さて、中でも LD、ADHD児童の保護者のかたと兵庫県LD親の会「たつの子」代表の方の報告には、たぶん参加者全員が現状の厳しさを感じたことと思います。 当事者体験、そうしたお子さんをお 持ちの保護者、特にお母さんの叫びにも似た切実な声は、万人の心を打ちます。

「親子ともにパソコンが苦手だった。アイフォーンでDAISY教科書が使えるとわかった。今では、アイフォーンが家庭での教科書。画面を見ながら音を聞く。どこでも見たいときに見ることができる。勉強はまだまだ苦手。しかし勉強はしたい、という風に本人が変わってきた」と言われていました。

さて、広く一般に向けた啓蒙啓発の意味で のこのような催しに、さまざまな立場の一人でも多くの参加を願います。 最近、このような催しに区議会議員や都議会議員、国会議員の参加がみられるようになりました。最終的には、国からの支援なしには成り立たない分野です。国をも巻き込む活動が必要になってきます。

No.174 読み書きサービス

12月16日ボラセンで、NPO法人大活字文化普及協会事務局長の市橋正光さんとお会いしました。 そして、さまざま情報交換をさせていただきました。そこで市橋さんから、同協会の賛同団体にという申し入れがありましたので快諾しました。名を連ねることにより主宰者はもちろん他の 賛同団体とも連携が深まることを期待します。このことに関連して一言つけ加えます。

皆さまがあちこちで音ボラネットの名前を目にすることで「私たちの音ボラネットがこんなことにも協力してる、こんなところでも頑張っているんだ」と言う風に思ってくださり、励みになってくれたらと思うからなのです。 以前、何かのパンフレットの中に「音ボラネットの名前を発見。嬉しくなってメールをしました」という地方の方がいました。

さて、話を戻します。同協会が進めている「読み書きサービス」という制度のことです。すでに各地で、音訳ボランティアがこのサービスの内の代読を行っています。主に二人一組で自宅に伺い、正に生活情報を音訳(代読)しているわけです。すでにある、この活動をどう捉えるのか。理想は理想として、現実との折り合いをうまくつけていかないと、せっかくのこの度の取り組みがスムーズにいかなくなることがあったとしたら残念なことです。図書館関係者はもちろんのこと、社協やその他多くのみなさんと協力しながら進めていっていただきたいと思います。もちろん私たちができる協力は喜んでさせていただきます。

No.173 シンポジウム参加

12月6日、都内で大活字文化普及協会主催のシンポジウム「全ての人が読書・読み書きできる方法を考える」が開かれました。午後外せない私用のため午前のみの参加となりましたが、大変有意義な会でした。

全国の図書館で視覚障害者や高齢者など、読み書きに困難を伴う人のために代読や代筆のサービスを行っていこうというものです。 主に日常生活上必要な地域の回覧物、家電や携帯、パソコンなどの取り扱い説明書、手紙や貯金通帳等々の代読。各種申込書、手紙や宛名書き等の代筆です。

数少ない例ですが、すでに墨田区では図書館職員が自宅を訪問してサービスを行っています。ここには障害者サービスに熱心に取り組んでこられた山内薫さんがいらっしゃるからだと思います。 ところで読書権保証協議会会長の岩井和彦さんは、「情報にアクセスする権利や読書する権利が、基本的人権だとすれば、それをサポートするのはボランティアではない。守秘義務を含めた契約関係に基づく情報支援者だ」とおっしゃっていました。

何でもかんでも、無償のボランティアでいくべきだとは思っていませんので、大変興味深く伺いました。 「声に出して読み上げる」という技術を持っている私たち音訳者が協力できる分野です。どんな形で協力できるのか考えていきたいと思います。

すでに自宅を訪問して対面朗読をしている音訳ボランティアのみなさんがいる現状もあります。ですからボランティアではだめだというのではなくまずは、地域の活動を大切にしながら、少しづつ理想に近づけていけばいいのではないでしょうか。 ともかくせっかくの取り組みです。いろいろな人たちを巻き込んでいくべきです。特に多くの図書館関係者に周知していくべきではないでしょうか。

No.172 朗読会

地下鉄押上駅から地上に出たとたん、一年ぶりにすでに地上500メートルに達した、スカイツリーとご対面です。カメラを構えた人の列が続きます。

この地で12月4日、すみだ録音グループ「声」のみなさんによる朗読会が開かれました。ずいぶん前からご案内をいただいておりましたので、日程調整がスムーズにいきました。 視覚障害者も含め会場一杯の200人が参加、盛会でした。

古典から現代物、そして落語とバラエティに富み、聴衆をあきさせません。衣装というほど凝ったものではありませんが、こちらも工夫しています。

全体を通して感じたことは、「配役の妙」ということです。例えば、源氏物語の葵上は、初々しくはかなげな風情を表せる人、源氏の君は、やはり男性なので声の低いというか太い人、年上の愛人六条御息所は、嫉妬心と哀しみを表現できる人をきちんと選んでいます。声質や年齢等に合わせて役を振り分けるコーディネーターの役は大切です。通常の音訳でも 、公平で中立の立場の人がいてその都度、読み手を選ぶことができるのが理想ではないでしょうか。 読み手によって印象がガラリと変わってしまいます。

さて個人的に一番楽しませてもらったのは、有川浩作「阪急電車」でした。主に阪急電車今津線車内が舞台で、乗り合わせた客の会話で話が進んでいきます。5人の朗読者全員の関西弁がなめらかで、違和感なく物語の世界に引き込まれました。 ある人はアクセント等、関西の友人に教えてもらったそうです。この「声」の何人かのみなさんとは親しくさせていただいていますので、なんとなくわかるのですが、それぞれの人柄にあった役を振り分けられているなと感心しました。

さて、日頃は区の刊行物等を音訳しているグループの娯楽性溢れる朗読の舞台に対する視覚障害者の生の声が聞きたいと思いました。

尚、会場で何人かの方とお話ができて、嬉しかったです。この出会いがまた次につながっていったら幸いです。

No.171 マルチメディアデイジー寄贈プロジェクト

12月1日、伊藤忠記念財団の矢部さんと高根沢さんを都立文京盲学校にご案内しました。私たちが協力しているマルチメディアデイジーの寄贈先が盲学校を含むすべての特別支援学校です。

文京盲の澤田校長先生は盲学校校長会の会長を務められています。 一度、矢部さんたちと、今回の取り組みのご案内かたがたご挨拶にと思っておりました。半年間、懸念事項だったことが、その日のうちに解決したと矢部さんから連絡がありました。澤田校長先生が即刻、手配してくださったようです。

私もいつも、このことは、どこのどなたにご相談お願いすれば、事がスムーズに運ぶか考え、人脈を大切にしてきました。どんなにすばらしい取り組みも一歩間違えると、自己満足に陥りかねません。 広くいろいろなお立場の方々の協力が欠かせません。

このマルチメディアデイジーがひとりでも多くの障害児童に活用してもらえるよう、最大の努力をしていかなくてはなりません。読みはもちろんのことですが、その他のことでもお役にたてることがあれば、やらせていただきたいと思っています。

No.170 「マンガも読んでみよう 実践編」

1月の「マンガを読んでみよう」に続き11月20日に「実践編」を開きました。 1回目は利用者のみなさんから「マンガも読みたい」という熱い思いをたっぷり聞かせていただきました。苦手意識を克服して頑張ってマンガに挑戦してみようと、地元に帰ってみるとどんなふうに読んだらいいのか、現実は迷うことばかり。ぜひ続編をとの声に、初の講習会の開催となりました。

さて当日は、参加者に事前に配布した課題の読み原稿を持参してもらいました。 講師の三浦さんが受講者の間を回りながら、当てていくというやり方が良かったのでしょう。みなさん緊張しながらも、次々と発表してくれました。

続いて文字が一切ない2コママンガを、即興で読んでみることに。これがまたおもしろかった。登壇者としてお呼びしていた若い利用者のお二人の反応が楽しそうで、その場で感想を伺ったりしました。

ところで、嬉しいことにこの一年の間に、各地で複数のCDができました。「ゴルゴ13」「アドルフに告ぐ」「ブラックジャック」「岩崎弥太郎」と、みなさんで聞かせていただきました。 試行錯誤しながらも、どれもなかなかよくできています。

1回目のシンポジウムの時も話題に上がりましたが、やはりマンガが好きでなければ音訳するということは厳しいと思います。マンガは読み手を選ぶものではないでしょうか。

尚、会場には図書館の職員の方も参加してくださいました。音訳者に混じって熱心にメモをとる様子を拝見してありがたいと思いました。 ここから連携の輪が広がることを切に願います。

No.169 障害のある子ども達のための読書サポート講座

11月13日伊藤忠記念財団主催で上記講座が開かれました。事務局の鶴岡と参加しました。 そもそも財団では、障害のある子どもたちに良書をということで、マルチメディアデイジーを作成し、主に特別支援学校に寄贈するという事業が進行中です。

私たち音ボラネットで音訳のみの協力をしております。2010年度の目標30タイトルは、なんとか年内で読み終わります。財団で編集し完成の予定ですが、何タイトルかはできあがったものがあります。関係者によるモニタリングが始まります。

ところで、子どもたちが再生機(パソコン)を自分で操作することは難しい状況ですのでそれをサポートする人が必要です。 今回のこの催しは、そのサポーターを育てるという取り組みです。 丸一日の講習でしたが、音訳者や学生、社協や学校関係者と熱心なみなさんが集まりました。

内容としては

〇全盲、弱視など「読みやすさ」を必要とする子どもたち

〇学習障害、発達障害など「読み」に困難のある子どもたち

〇知的障害、自閉症など「わかりやすさ」を必要とする子どもたち、をサポートするには、という3講座がとりわけ勉強になりました。

京都の養護学校の藤澤和子先生、石川の特別支援学校の河野俊寛先生からは現場での熱心な取り組みの報告がありました。興味深く伺いました。 藤澤先生が少なくとも1冊の本を3通りの読みで作ってもらうとありがたいとおっしゃっていました。理想は一人一人の障害に合わせたものができるといいですが、残念ながら現実には厳しい状況です。

再生ソフトのAMIS3.1(アミ3.1)は、文字のサイズ、書体そして縦組横組、背景色や文字色も変えられます。また読みの速度もしかり、です。このことによってさまざまな障害のある子どもたちに対応が可能となるでしょう。それにしてもやはりサポーターの養成が急務です。一人一人の子どもたちにとって、初めからベストのものはできませんが、一つずつ環境を整えることによって、よりよいものが作られていくと確信しました。

いずれにしても、私たち音訳者はやはり、読みの基本を大切にし、質の高いものを提供していくことにつきると思います。

No.168 サイトワールド

「サイトワールド2010」が例年のごとく、11月1日2日3日、すみだ産業会館サンライズホールで開催されました。 今年で5回目となるこの催しは視覚障害者向けの総合イベントとして、この期日のこの会場での開催ということで定着しています。 さまざまな機器や製品の展示、シンポジウムや講演会、シネマライブ等多彩です。

ところで毎回ボランティアとしての協力依頼がきます。私も毎度、人の手配ばかりでは申し訳ないので、事務局からの7名といっしょに2日間お手伝いしました。今回初めて、パンフレットに協力ボランティアとして「全国音訳ボランティアネットワーク」と名前が入りました。

さて会場ではたくさんの方にお会いしましたが、特に静岡の増本先生、稲垣さん、長野の脇坂さん、大阪の小林さんとお話ができて嬉しかったです。この催しは毎回たくさんのボランティアが支えているという一面もあるわけです。

そんな中、今回都立橘高校の一年生が先生に引率されて参加していました。どっちがガイドしているのかわからない場面もあり、初めは戸惑っていましたが、みんないい笑顔で頑張っていました。これからもさまざまな機会にこういう若い人たちを巻き込んでいけたら色んな意味で有意義だと思いました。ボランティアも高齢化しているわけですから。

またすでに2011年度の開催が決定しています。ぜひ今から頭の片隅に入れておいてください。

No.167 事前打ち合わせ

10月25日午後から、日本カトリック会館に20日の打合せで、事務局の泉、大田、島村と共に伺いました。 ロゴス点字図書館の高橋さん、施設管理の近藤さん、そして音響の佐藤さんにも同席していただきました。

ここをお借りするのも3回目。三人とも、私たちの意図するものをよくわかってくださっています。 今回はプロジェクターの使用もありませんし、CDの再生のみですから、わりあい楽です。 あとは、前日の19日に資料等の搬入と最終打合せを行うのみです。 この会館は全国の司教さんたちが集まって会議等を行う場所でもあります。設備も充実していますし、とてもきれいです。そして東京駅から近いので特に地方の方からは好評です。すぐそばにビジネスホテルもできました。

そもそも何年か前に、ロゴス点字図書館でアルバイトを募集していた時に、ある人を紹介したのがきっかけでした。 それ以来のお付き合いです。会場探しはほんとうに大変ですので、とても助すかっています。ご縁というのは、ありがたいものです。大切にしていきたいと思います。

ところで、前述の豊島区立中央図書館ひかり文庫の田中さんから、20日当日、参加とのご連絡をいただきました。また一人図書館の方が増えました。ありがとうございます。