音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.278 受験勉強

このところ立て続けに、高校や大学受験のためのサポート依頼がきています。
先ずは、文京盲学校を受験予定の男性からです。
高校の入試対策のための国語の問題集を6月末までにデイジー図書でCDにしてほしい、というものです。こちらは、いつものごとく、新宿の南部さんにお願いしました。
私が、勝手に尊敬をこめて、「すぐやる課」と呼んでいるのですが、急いでお願いして断られたことがありません。頼もしいかぎりです。
ところで当然、教材は一冊ではないはず。確認すると、自力で音訳グループをさがして、すでに依頼済みだそうです。心強いことに、みんな音ボラネットの会員でした。そう話すとビックリしていました。
「みなさん心よく引き受けてくれました。でも3ヶ月も、かかるんですよね」と。
「こういう急ぎのものに対しては、受け手もできるだけ早くと思っています。でも、一種の専門書ですから、下調べや校正にも時間がかかります」と伝えました。
本人にしてみれば、一日でも早いにこしたことはないわけです。
一方、都内「いとでんわ」の大谷さんからは、大学受験用の問題集を音訳してくれるグループはありませんか、と。こちらも6月末までの急ぎのもの。「いとでんわ」でもすでに4冊請け負っていて、これ以上はムリということです。こちらもいろんなことに対応している熱心なグループです。
この件に関しては当ホームページで音訳者の募集をしています。
さて、高3の筑波大学附属視覚特別支援学校在学のお子さんのことで、保護者の方からメールがきました。
弱視が進行しているが、点字の読み速度が遅い。授業では、拡大読書機を使用。しかし、持ち歩くことができない。来春の受験に向けて2時間以上もかかる通学時間にも勉強できればと思っている。ホームページでテキスト化の活動のことを知った。テキスト化できれば、本人がPCーTalkerで聴けるし、文字を拡大して読むこともできる。親として、私もテキスト化の勉強がしたい。
しかし、手っ取り早いのは、プレクストークで録音するのがいいと思い、取り扱い説明書を片手に頑張ってみたが、うまくいかないと。
そもそもプレクストークは、視覚障害者向けの録音・再生機です。見える人には、逆に扱いにくいと思います。
取り急ぎは、地元小田原の音訳グループに直接、録音技術について、教えてと、お願いしました。初めは、どこそこに登録している人でないと対応できないきまりになっているとの答え。ならば、グループとしてではなく、メンバーのどなたかが、個人で対応してとお願いして引き受けてもらいました。
上記3件は、受験用資料の変換依頼です。
そのうち2件は、音訳でということでしたが、こういうものは、正に「テキスト化」が、一番あっているものだと思います。今後、生徒さんの学びを支えるための依頼が増えてくることは、必至です。
この保護者の方には、総会・分科会にも参加してもらい、分科会では、当事者の保護者として、一言熱く語ってもらう予定にしています。
母の叫びは、切実です。
参加のみなさんと、このお子さんにとって、どんな支援が一番いいのか、考えていけたらと思います。
どうか、よろしくお願いいたします。

No.277 総会直前

総会直前の事務局には日々、さまざまなことが起こります。
「えーっ! なに、それ」ということや、口あんぐりのことも。
正直そういったことに、いらぬエネルギーを使いたくないと、愚痴も出てきます。
でもそんな中にも、励みとなる嬉しいことも、起こります。
地元の利用者である藤原さんが、お世話になっていますと、いつも気遣ってくれる高知の松田さんから、連絡がありました。
高知県点字図書館の館長が、総会・分科会に参加を希望しているが、どんなものでしょうかと。
二つ返事で、ぜひどうぞとお伝えしました。
また、東芝の研究開発センターで言語処理、音声合成の研究開発をしている方からも、参加して勉強したいとメールがきました。
嬉しいですね。
私たちのような法人格も持たない草の根のボランティア団体に図書館や一般企業から、参加したいと言っていただけるということは、ありがたいことです。
ずーっと言い続けている連携・協力のためには、情報交換等は、非常に大切なことと思っています。
それから、助成金申請に関して、二つのところから、お声をかけていただきました。
一つは、霊友会法友文庫点字図書館の紹介で、生涯学習ボランティア交流センター発行の「おうらい」という雑誌の取材を受けました。
その関係で書類を提出してみてくださいと、言っていただきました。
また一つは、住友ゴムCSR基金からのものですが、これは、日頃からお世話になっている、東京ボランティア・市民活動センターからの推薦です。
こんなバタバタしている最中に担当の猪俣さん古屋さんの連携プレーで、徹夜で書類を作成し、提出できました。
ヒヤリングをしたいと連絡をいただきました。
両方とも、相手のあること、結果はわかりませんが、気に掛けてくださっている方々がいる。
私たちへの、大きな励ましだと思っています。
また、私たちの活動をとおして、一人でも多くのみなさんに、利用者の生活・学習・読書等の現状を伝えられると考えます。
こう書いている間に、また嬉しい情報が一つ。
松井さんからの紹介で、パナソニック ソリューションテクノロジー(株)の福地社長に総会のご案内をお送りしました。
総会と分科会に参加してくださるそうです。
その上、OCRソフト「読取革命」をご寄贈いただけることになりました。
手弁当で四苦八苦している、テキスト化プロジェクトのメンバーの顔が浮かびます。
作業がはかどることでしょう。
みなさま、本当にありがとうございます。

No.276 「テキスト化プロジェクト」その後

4月の講習会に参加の方からの情報が、事の始まりでした。
(株)高知システム開発から無料でソフトを、ご提供いただきました。
スクリーンリーダーのPCーTalkerです。
この高知システム開発は名前のとおり、高知市内にあります。
「テキスト化」の原点ともいうべき、初めての依頼者である藤原さんも高知市内在住です。やはり、ご縁でしょうか。
視覚障害者が簡単にパソコンを操作できるように、アクセシビリティに対応したソフトを開発・販売しているところです。
www.aok-net.com/がホームページアドレスです。みなさんも覗いてみてください。
この「テキスト化」の作業における校正とは、文字校正なのですが、それを利用者と同じように、PCーTalkerを使って、耳で聴く校正が加わると更に、精度の高い聴きやすいものができるというわけです。高価なものですから、購入するとなるとなかなか厳しいので、本当にありがたいことです。ところで、受講者のみなさんは、メーリングリストで自己紹介も済み、いよいよ活動開始。焦らず、ゆっくりと先輩の優しい丁寧な指導をあおぎながら楽しんで活動していただければと思います。
どうかよろしくお願いいたします。
そういえば、千葉の松井さん念願の「資料デジタル化講座」が、千葉県立西部図書館でも開催されることになりました。
音ボラの講習会での実力?を買われ、ご指名の黒田さんと古屋さんを講師として派遣します。
着実に進んでいきましょう。

No.275 テキスト化講習会

冬に逆戻りしたような寒空の一日でしたが、「はじめてのテキスト化 講習会」が無事に終わりました。
総会を目前にして、準備に追われるこの時期に、何も講習会を開かなくても、という声もありました。
当初は、助成金もつき、協力という形で参加という予定が、諸般の事情により一転。
中止という選択肢はなく、「テキスト化プロジェクト」事務局のメンバーで、頑張ることに。
「でもまあ10名も集まれば御の字」と。
とんでもありません。37名の申し込みがあり、講師陣に事務局を加え、定員の50名超え。
秋田、長野、塩尻、甲府、静岡、福岡等の遠方のみなさんも。その他、図書館職員の方も。
その朝、一歩先に活動している小樽の軽部さんから、「今朝も屋根が真っ白。たくさんの方が新たに、このプロジェクトに加わっていただけること、楽しみにしています。盛会をお祈りしています」と暖かいメールが届いていました。
まずは、ざっくり「テキスト化プロジェクトとは?」「OCR作業とは」「テキストファイルの校正作業」「図表・写真の説明について」を、事務局メンバーから。
そして、ご協力いただいている(株)ブックスキャンの若き社長と副社長からは、「PDFファイル作成」、更に松井進さんからは、「利用者の立場からみるテキストファイル」について、しっかりとした締めの話しをしていただきました。
アンケートやみなさまの生の声は、ありがたいことに、大変好評ですぐに、プロジェクトに参加したいという方もいました。
すでに活動はしているものの、正に初心者という二人も参加していました。
いつもメーリングリストでは、お馴染みでも顔を会わせるのは、初めて。
黒沢さんは、「お会いできて、嬉しいというのを通り越して、舞い上がってしまいました。いつも足を引っ張っている感があり、参加していていいのだろうかと悩んでいました。でもこの講習会では、参加するというはっきりとした意志が湧いてきました」と。
尾形さんは、「わかりやすい説明、有意義な話が聞けてモチベーションがあがりました。名前だけの方々には、直接お目にかかれて、以前からの知り合いのように感じられ感激です」 「早速、音訳の会でテキスト化について、伝達研修会を行います。6月の視覚障害者支援の連絡会でも、このプロジェクトの宣伝ができそうです」
さらには、「思い切って又一つ、新しい世界に飛び込んでよかったと思います。
利用者の読書環境が、ここまで進んでいるのかということに、まず驚きました。
まだまだテキスト化のことを知らない音訳者が、圧倒的多数、図書館もしかり、です。
上からの指示を待つだけではなく、私たちボランティアの側からの働きかけでも、できることは、あるのではと思いました」
とは、秋田の松本さんの弁。本当にありがたい、貴重な感想、ご意見が伺えました。
最後には、松井さんや遠方からのみなさんにも参加していただいた懇親会、楽しいなかにも有意義な情報交換の場でもありました。
このプロジェクトは、パソコンの普及により進んでいるものです。
ネット上のやりとりで完結していますが、たまには、顔を合わせることの大切さを改めて感じました。
ご参加のみなさま、お疲れさまでした。ありがとうございました。
また、総会でお目にかかりましょう。

No.274 総会も間近

「こんなに早くからとりかかるの」と、ある図書館の方がびっくりされていた総会の準備も、大詰めを迎えています。続々と参加申し込みや、委任状が届いています。
さて、私たちの総会は、ご承知の通り、2年に1回の開催となっております。毎年では、地方からの参加のみなさんの負担が大きいこと、事務局のマンパワー不足と予算的なこともあって、この形が定着しています。その分、2日間に渡っての開催となり、「てんこ盛り」の内容になっています。少しでも多くの「お土産」を持って帰ってほしいと思う面もあります。
まず、テーマを決め、それに見合った基調講演をどなたにお願いするか。分科会は、どんなテーマのものをいくつ用意するか、そしてそれぞれの登壇者はと、けっこう頭を悩ませます。でも登壇者は、ぜひこの方にとお願いすると、みなさん二つ返事で引き受けてくださいます。
今まで、1度たりとも断られたことは、ありません。本当にありがたいことです。
更に、事務局内での話し合いはもちろんのこと、登壇者のみなさまとも、遠方の方は別としても、直接お目にかかって、何回か打合せをし、より充実した分科会を目指しています。
しかし、どんなに頑張っても、全員が満足するなんてことは、あり得ません。私たちのこのネットワークは、全国組織であり、独立したグループ、個人の連合体です。そこそこに情報量の多少、音訳技術の高低といった差があることは、否めません。
そんななかで、みなさんが、開けるようなものを企画しても、あまり意味がないと考えます。みなさんより一歩、いえ半歩先をいく企画をと思います。毎回足で稼いだ、利用者を取り巻く最新の情報を、お届けしたいと思います。
今回の「広がりをみせる音訳Part2~多様化するニーズに応えるために~」をみなさんが、どう受け止めてくださるか、多少の不安もありますが、ワクワクしています。締め切りも間近です。
一人でも多くの方に、お目にかかれることを楽しみにしています。

No.273 英語の教材

昨年の11月頃だったでしょうか。都内某有名私立大学の学部長から、連絡がありました。
弱視の学生のために、学内のインターネット環境を整えようと、業者に依頼してみたものの、どうもうまくいかない。
OCRの機材やソフトについて、アドバイスしてくれる人を紹介してもらえないかと。
即、お馴染みの千葉の松井さんに繋ぎました。
英語のOCR環境について知りたいということだったので更に、東大の先端科学技術研究センターの近藤先生を紹介してくださったそうです。
やれやれと思っていると、大学から再度連絡が入りました。
おかげさまで、東大のコミュニティに通うことになったが、すぐにというわけではないので、準備が整うまで、教材を録音してもらえないかと。
まずは、全て英語という教材を音訳してくれる人を、急ぎ探さなくてはなりません。
います、います。谷さんのところの「山びこ」には、英語や仏語など数ヶ国語に対応できる人たちがいたはずと、あわててかけた先が、名前は「やまびこ」でも違うグループでした。
でもこちらにも、英語可という人がいるということが判明。嬉しい間違い電話になりました。
早速に、この二つのグループのみなさんに、引き受けていただきました。
大学側も含め、顔を合わせての打合せを提案。ボラセンに集まっていただきました。
大学側の意向、当事者のこと、だいぶ様子がわかりました。
今までは、学内の学生にICレコーダーで録音してもらっていたそうです。
ということは、クオリティが求められるというよりは、それなりに英語が読めて、早く録音資料を提供できることが、最大の条件だと、理解しました。
また、教材の分量が増えた場合、3名の音訳者の他に、人員を確保しておいたほうが、良さそうです。
音訳者のバイリンガルの家族。目下、音訳は勉強中、でも英語が堪能な人。こういう人たちもいるのですね。待機しておいてもらえば、大丈夫。
で、試しに音訳したものを、大学側に聴いてもらったところ、教授たちもびっくりするほどの出来栄えだったとか。さすが音訳者。
これで、何とかいけると思っていた矢先。
当の学生が、4月以降、予定していた授業をとらなくなったと連絡がありました。
拍子抜けしました。
しかし、東大に通って、点字も学ぶそうです。
思うにこの学生は、弱視だったということもあり、視覚障害者としての生活や学習に対する訓練を系統だって受けてこなかったのでは、と思われます。
保護者が、横浜から車で送迎。大学へのさまざまな要望も保護者を通じてということが多かったと聞きました。
きっとこの学生にとっては、自立への1年になるのではないでしょうか。
また、何かお手伝いできることがあれば、協力しましょう。多忙ななか、準備を整えて待っていてくださったみなさん、申し訳ありませんでした。
ありがとうございました。
ところで近年、視覚障害者の大学進学率がすこーし、あがっているようです。
合理的配慮を求められる大学側も、そういう学生に対するノウハウがないとなかなか大変だと思います。
その上、外部団体との連携がないと、更に苦労することでしょう。
初めは、あちこち電話をかけまくりました。
最後に「音ボラ」という、いい団体に出会えましたと、学部長からお礼を言われ、少しホッとしました。
いろいろなことがあります。

No.272 テキスト化プロジェクト

東日本大震災から2年がたちました。
「忘れない」ことが、大切と言われながら日常に追われ、その意識が薄らぐこともあるのですが、私たちにとっては、一つのプロジェクトの立ち上げによって、忘れられない一つの原点になりました。
高知市内の視覚障害の方の依頼が、同市内の音訳グループの代表を経由して私に届いたのは、あの3.11直後のことでした。
「厚労省のホームページから発信されている震災情報が、そのままでは、使えない。つまり、PDFファイルをテキストデータに変換して、合成音声ソフトで読み取れるようにしてほしい」というものでした。
音ボラネットの会員有志とインターネットを通じて協力を申し出てくださった一般の方たちが、作業を進めてくれて、依頼者から被災地域をはじめとする視覚障害の方々に配信されました。
きっかけは以上のようなことですが、このような災害時における情報提供は、未経験でしたので、音訳者がどこまで、やらなくてはいけないのか、どこまでやれるのか、正直、不安でもありました。
しかしその後、需要の多さを知り「テキスト化プロジェクト」を立ち上げました。
私たち、というよりは、私のやり方の常で、体制がきちんと整ってからのスタートではなく、走りだしてから考え、補っているようなところがあります。
今、目の前で困っている人を待たせてはおけないという思いです。
その分、現場のみなさんには、ご迷惑をおかけしていることと思います。
そのようななか、参加メンバーがメーリングリストで、知恵を出しあい、時には依頼者の利用のしかたを確認しながら、カバーしてくれています。
この場で、関わってくださっている全てのみなさまに、改めてお礼申し上げます。
ところで、4月20日に予定している講習会への参加申し込みも早々と定員に達しました。ありがたいことです。
そして、これに続く、6月の総会での分科会でも、この「テキスト化」のことを、わかりやすく取り上げる予定です。
音訳者にとっては、まだまだ新しい分野の活動かも知れませんが、一人でも多くの方に、ご理解とご協力をいただけるものと信じています。

No.271 ディスレクシアな日々  ~美んちゃんの場合~

楽しい催しに参加しました。
発達障害への理解を深めるための映画と講演の集いです。
NPO法人みなと障がい者福祉事業団主催のドキュメンタリー映画「ディスレクシアな日々ー美んちゃんの場合」の上映と講演です。
まず、港区ですが、ディスレクシアを持つ人の啓発、サポートとネットワークを目的として設立されたEDGE(エッジ)の事務局があるからでしょうか、取り組みが進んでいると、主催者の挨拶を聞いて、感じました。
映画は、視覚障害の方たちのために、音声ガイドがつけられました。
美んちゃんは、留学先のイギリスでディスレクシアではと、指摘されました。
見た目もおしゃべりも普通。友達もたくさんいる。でも、読み書きに困難さがある。書類や報告書を作り、本を読むことが、大の苦手。
やっと就職しても、次々にクビになる。
思えば、子どもの時から、どんなに頑張っても成績が上がらなかった。問題はわかっていても、読み書きに時間がかかったり、文字の間違い、うっかりミスが多かった。
また、一番身近かな理解者であるはずのお母さんが、娘(美んちゃん)の障害を認めたくなかったがために、対立したりと、なかなか厳しい現実のなか、それでも美んちゃんは、負けない。明るく前向きに生きています。
そして、障害者によるビジネスプランコンテストに応募し、渋谷区代々木に「ユーロ・デリ」というお店を、持つまでになりました。
プロ級のヘアメイクのアルバイトもしています。
何しろペーパーテストが苦手なので、なかなか資格がとれません。
さて、美んちゃんが言っていました。
「私は自分の障害の正体がわからないまま、大人になった」 「小さい時に、自分の障害がわかり、それなりの支援があれば、もう少し違っていたかも」と。
ここでもやはり、当事者の生の声を聞くことの大切さを再確認しました。
ところで現在、小・中学生の6.5%が、発達障害を持った子どもと言われています。
現在私たちも、そういう子どもたちのために、ささやかですが、マルチメディアDAISY図書の音源を提供しています。この活動を通して、もっともっと学習障害への理解が広がらないものかと思っていました。でも、どなたかが言われていましたが「ディスレクシアに風が来ている」と。同感です。
ディスレクシアが取り上げられるようになりました。そして、当事者や保護者、支援者が一緒になって、もっともっと大きな風を吹かせないといけないと思います。
重くなりがちなテーマの催しですが、美んちゃんのパーソナリティーのおかげで、とても楽しい一時でした。
この催しを紹介してくれて、一緒に参加したIMDプロジェクトの佐伯さん、和田さんと、美んちゃんのお店で、売っているパウンドケーキを買い、美んちゃんの笑顔に送られて家路につきました。

No.270 朗読と講談のつどい

日本点字図書館の「朗読と講談のつどい」に出かけました。
小野館長から、ご案内をいただいておりましたので。
お誘いした人の中から、かたりべの木村さん、当事務局の大田さんが、参加してくれました。
音訳ボランティアというよりは、視覚障害の方とガイドの方で会場は満員です。
やはり、耳で聴く朗読や講談は、大きな楽しみの一つでしょう。
まずは、放送劇や司会などの経験があって現在は、図書館等で、朗読をしている清水奈美江さんです。
伊集院静の「時計のキズ」。
今まで視覚障害の方の朗読は、何回か聴いたことがあります。
ほとんどは、点字を指で追いながら語る、というスタイルです。
清水さんは、音訳された短編をたくさん聴いて、台本を選ぶそうです。そして本番でも、声をイヤホンで聴きながら、語っていきます。
会場からは、「さすが、うまいなあ」という声。
私たちも話の世界に引き込まれ、是非とも原作を読んでみたいという共通の感想を持ちました。
続いては、宝井駿之介さんの創作講談「日本語点字の父 石川倉次伝」でした。
前に置かれた机を張り扇で、パ、パン、パンパンと叩く。口から機関銃のように言葉が飛び出す。
私にとって初めての講談です。
同じ声をだすということでは、私たち音訳者と通じるものがありますが、長時間、声の張りを失わずリズミカルに「一席を読ましていただく」(宝井さんの言)のは、さすがです。この世界の史実に疎い私には、石川倉次さんの人となりを垣間見させていただきました。この方の努力がなければ、視覚障害者の文字は、生まれなかったわけです。感動を覚えながら聞かせていただきました。
尚この宝井さんの講談は、日点初の試みとしてインターネットで流して、各地の点字図書館関係者に観て聴いてもらえたようです。
小野さんは、今後もこの方式を取り入れたいとおっしゃっていましたが、天下の日本点字図書館さん、新しい試みをどんどん取り入れてほしいと思います。
予め日時が決まっているものです。会場まで足を運べない人のためにも、ぜひ、軌道に乗せていただきたいと思います
会場では、東京ヘレン・ケラー協会点字図書館の石原館長ともお話ができました。
ありがとうございました。

No.269 シンポジウム「もっと知ろうデイジー教科書を!」後日談

マルチメディアDAISYに初めて出会った時、とにかく編集が大変という印象を持ちました。
この分野で、もし音訳者が何かお手伝いできることがあるとすると、音源を提供することくらいかなあと考えていました。
しかし、なかなか具体的な話は出てきません。
都内の製作グループでは、分業は難しいというような話でした。
ようやく、音訳者の出番がきました。
伊藤忠記念財団の矢部さんたちが、子どもたちのために、児童書のマルチメディアDAISY化に、取り組むことになり、是非とも音源を提供してほしい、ということでした。
初めてのことで、すべてスムーズに進んだわけではありませんが、この共同作業も、3年目に入ります。
貴重な経験をさせていただいています。
そして、この度のシンポジウムです。
あおもりDAISY研究会の神山先生に、お目にかかりました。
「国語は、肉声が必須」、「音訳ボランティアとの協力」という方でした。
やはり、こういうふうに考えている方がいるということが、嬉しくて、早速に名刺交換をしました。
すぐに、「ぜひ、協力してほしい」というメールがきました。
IMDプロジェクト事務局のメンバーと相談して、テストケースでお引き受けすることにしました。
著作権切れの作品を集めた「青空文庫」のなかから一冊、「夏目漱石」の作品が、指定されました。
ネット上から、プリントアウトすればいいので、原本の受け渡しがなく、楽です。
完成作品は、インターネット上のWebサーバーに、一般に無償公開なさるそうです。
「すぐやる課」のメンバーが、すぐに音訳を始め、すでに一部は、先方におくられています。
「音ボラネットと連携し、訓練された質の高い音訳者のお力をいただけることで、聞きやすいDAISY図書を作れると考えています」と嬉しいメールもいただいています。
更にまた、IMDメンバーの一人は、お子さんが小学校時代に、お世話になった先生に、シンポジウムの資料を、お送りしたそうです。
「今回の資料にあるようなデイジー教科書等については、お恥ずかしいかぎりですが、ほとんど不案内でした。
これをきっかけに少しでも勉強していきたいと思います。
今までの教え子の中には、学習障害や自閉症、ダウン症、アスペルガー症候群などの障害を持つお子さんがいました。また正確に診断されていなくても、特別支援の必要なお子さんがたくさんいます。
すべての子どもたちに、それぞれに合った教育を受けさせてあげたいという気持ちは、常に抱いています。みなさんのような方々が、このような活動をされているということを知り、嬉しいかぎりです」
良き出会いは、良き連携につながります。
それぞれができることからはじめましょう。