音ボラネット事務局 のすべての投稿

No.325 「盲人の時間」放送50周年記念祝賀会

NHKが「盲人の時間」という番組を開始して、50年を迎えたのを記念して祝賀会が開かれました。会場の都内、グランドヒル市ヶ谷には、視覚障害者の代表のみなさんはじめ、NHKのアナウンサーやディレクターが出席。ピアニストの和波孝禧さん、ヴァイオリニストの川畠成道さんのお顔も。 ラジオは、大切な情報源とおっしゃっる視覚障害の方は多いです。ましてや、50年前といえば、情報にアクセスする手段は、本当に限られた状況だったろうと容易に想像がつきます。ですから、ことに当時は、どんなにか楽しみな番組だったことでしょう。今は「聞いて聞かせて~ブラインド・ロービジョン・ネット」という名前に変わっています。 実は、私はこの番組を、お恥ずかしながら1~2回しか聞いたことがありません。こんな私にまでご案内をくださったのはたぶん、こういう歴史をさまざまな立場の人たちが、共有することの大切さを考えられてのことでしょう。 ここからまた、新たな連携が生まれるはずですから。私はもっぱら、この世界の先輩諸氏と名刺交換させていただく貴重な場と考えて出席させていただきました。 私たちは、単なるボランティア団体です。今でこそ、おかげさまでだいぶ知られるようになりましたが、まだまだ新参者です。1回よりは2回、2回よりは3回くらいお目にかかると、ようやく意識していただけるかなという感じでしょうか。そして、こちらの本気度が伝わり信頼関係ができれば、何かと連携もしやすくなるというわけです。 この日は、特に日本盲導犬協会の吉川さん、東京ヘレン・ケラー協会の石原さんと、楽しい近い将来のコラボについて、話しが弾みました。 前向きな話ができるのは、嬉しいですね。 みなさま、ありがとうございました。

No.324 わいわい文庫

IMDプロジェクト「わいわい文庫」への音源提供に関わって、5年目に入りました。毎回年度末に関係者が集まり、報告やら反省やら、次年度の目標やらを話し合います。今回も3月末に、伊藤忠記念財団の矢部さんたち、千葉の松井さん、プロジェクト事務局の面々と久しぶりにフルメンバーが集まりました。
すでに、2014年度分のうち、13タイトルの原本が、各地の登録音訳者に送付されました。

ところで、初めの2010年度は、児童書31タイトルをマルチメディアDAISY図書にして3月には、全国すべての特別支援学校と大規模都市の公共図書館、合わせて約1200ヵ所に寄贈されました。

当初私たちも、通常の音訳読みではなく、点と丸で忠実に間をとる。読みの早さも、かなりゆっくりめというようなことに、違和感を覚え苦労しました。(今では、かなり通常読みに近いものになっています)

また、矢部さんたちも少ない人手の中で、初めての編集作業に悪戦苦闘。やっと完成した作品を寄贈するも、フィードバックがなかったり、なかなか活用されなかったりと、厳しい立場に立たされたこともあったようです。

子どもたちも自分では、機材の操作ができない子が多く、何事も先生の手が必要となります。その先生方の7割近くが、マルチメディアDAISYを知らない、見たことがないという現状でした。ですから、活用は難しい面もありました。
でもやはり、何事もめげずに続けるということが大切です。今では、「いつもわいわい文庫を使っています」とか「子どもたちが喜んで見ています」という声が寄せられるようになりました。

矢部さんからのある日のメールに、「ある学校の卒業式に参列してきたところです」とありました。今までの積み重ねの結果の信頼関係だと、こちらも嬉しくなりました。私たちも負けてはいられません。
障害のあるすべての子どもたちの読書環境の向上のために、そして何よりも子どもたちの笑顔のために頑張ります。社会的に意義ある事業に参加させていただいているということに感謝しつつ。

No.323 ヒアリング

筑波大学附属視覚特別支援学校の宇野先生と、朝7時45分に待ち合わせをして、衆議院第一議員会館へ。毎週木曜日の8時から開かれている民主党の文部科学部門会議に出席するためです。
「著作権法の一部を改正する法律」について、ヒアリングをしてもらえるようになったと宇野先生から連絡をいただいたのは、ほんの直前のことでした。
先生お一人でも、十分なのですが、ボランティアの声も聞いてもらった方がいいと、私に声をかけてくださったのです。
持ち時間は、一人7分です。
音訳ボランティアのなかには、点字図書館や公共図書館の下で活動しているグループもありますが、そのほかに、社会福祉協議会で活動するグループ、またはどこにも属さない地域ボランティアグループがあります。
同じ活動をしているにもかかわらず、著作権許諾作業の必要の有無という点で、グループの立場によって、大きな格差が生じています。
図書館で製作されている録音図書が、十分とはいえない現状で、多くのボランティアが著作権許諾に悩まされることなく、録音図書等の製作に取り組めるような環境を整えてほしいと思います。

法律を変えるということは、簡単なことではありません。
でも心ある議員のみなさんが、こうして現場の声に耳を傾け、国会の場で取り上げてくれることで、多くのの人の耳目を集めます。
先方のアドバイスにより、宇野先生が、附帯決議案を作成、議員さんに送ってくださいました。
一歩ずつでも確実に、前に進むことを祈ります。

夕刻 会報第21号をクロネコメール便で発送いたしました。

年会費の振込用紙を同封いたしました。 用紙の送付が遅れましてご迷惑をおかけしました。 納入期限は4月末日といたします。 ご理解ご協力 よろしくお願いいたします。

今回は印刷を外注してみました。コート紙ですが、きれいな仕上がりです。

No.322 相談事

暑さ寒さも彼岸まで、桜の開花が待たれる頃となりました。
さて、私たちが日頃お世話になっているボラセンの担当の方から連絡がありました。
弱視の三人が、「海外旅行に行きたい。初めての所なのでガイドさんを探してほしい。有料でもかまわない」と、相談があったそうです。どのような対応がいいか、おすすめのNPOや旅行会社があったら教えてほしいと。

私は外出中でしたが、移動しながら、まずは、旅好きの知り合いの視覚障害のみなさんに、電話をかけまくりました。仕事中の人もいれば、逆に休日なので、外に出ている人もいます。なかなか1回では、連絡がつきません。ありがたいことに、みなさん折り返してくれました。
私もネットで調べました。

都内でNPO法人「ジャパン・トラベルボランティア・ネットワーク」という団体がありました。
有料ですが、旅行介助ボランティアの紹介業をやっているところのようです。

また各旅行代理店も、例えば、H.I.S.バリアフリートラベルデスク、クラブツーリズム・バリアフリー旅行センターがあります。
また、外務省に頼んで、現地のサポーターを紹介してもらうという手もあるようです。少なくとも言葉、最低限、英語くらいできないと厳しいかもと。
ずいぶんと行動力のある視覚障害者がふえたと思います。

例えば、障害者がそこに連絡さえすれば、さまざまな分野の確実な情報が得られるという所があれば、便利なのにと考えました。
しかし、ある人から、それは、各種取扱説明書の音訳依頼や「読み書き(代読・代筆)」の依頼など、何でもかんでも図書館にやってと言ってくることと同じ。それぞれの対応部署があるはずと。
海外に出かけようというのだから、当事者もある程度のところは、自力でやってみるべきと。さまざまな考え方があります。
でも、障害があっても、行きたい時にいつでも、行きたい所へ、旅立てるようなサポート体制が整っているべきです。

今回のように、音訳とは、直接関係ないことでも、私たちが視覚障害者のサポートをしているということで、さまざまな関連の問合せがあります。改めて、多少の努力をすれば応えられることには、応えたいと思いました。

それにつけても、情報収集に当たっては、やはり人脈が大事だと痛感しました。
この三人の人たちが、よいサポートを得られ楽しい旅ができますことを祈っています。

No.321 福岡での再会と出会い

九州は福岡市内に、福岡市ボランティア連絡協議会(略称 ボラ連)という団体があります。
ボラ連は、ボランティアグループのネットワークで、現在54グループで構成されています。視覚、聴覚、障害者、養護、高齢者部門など活動分野はさまざまです。
ここをまとめているのが、視覚部門の川崎寛子さんです。
このボラ連30周年記念祝賀会が市内のホテルで開かれ、私も出席しました。
会場が博多駅から徒歩圏内。そして福岡空港から博多までは、地下鉄で5分。空港から市街地まで、こんなに近くていいの、という感じです。北九州在住でテキスト化プロジェクトの当初からの貴重なメンバーである大木さん、利用者の韓さんもお誘いしました。
各グループの映像による活動紹介がありました。
また、バリアフリー映画体験や手話ダンスなどもありました。初耳のシャンテもありました。
歌のメロディーにのせて歌詞を朗読する。決して歌うのではなく、詩の内容を伝えるというものです。NHKのアナウンサーだった佐々木さんが、聞かせてくれました。
実にさまざまな活動があるものですね。
それから、冒頭の障害者のミュージックアンサンブル、JOY倶楽部の演奏は、感動しました。
1993年発足以来733公演をこなし、観客動員数が25万人という、れっきとしたプロです。各人が自然体で、自分らしい音楽の表現をしていました。
「コンドルは飛んで行く」は、青い澄み渡った高い空を舞うコンドルが見えるようでした。いつか、ぜひ東京でもと思いました。
全体的にとても暖かみのある楽しい祝賀会でした。
でも準備は、さぞや大変だったことでしょう。
会場での懐かしいみなさんとの再会、そして新しい出会いがありました。私が出席することで、みなさんが喜んでくれるのが、本当にありがたいです。
終了後は、川崎さんたちと食事をしながら、情報交換をしました。
テキスト化にも取り組みたいと心強い声も聞けて嬉しかったです。出張講習会が実現しそうです。

また、ネットワーク設立の前の「全国大会」の時から応援してくれている北九州の松浦さんが訪ねてきてくれて、貴重な楽しい一時が過ごせました。

みなさんそれぞれに頑張っています。
頑張っている素敵なみなさんとお会いすることで、私も元気が出ます。みなさん、お世話になりました。ありがとうございました。

No.320 図書館連携プロジェクト

もう何年か前のことになりますが、いつもの通り飯田橋のボラセンで、賑やかに作業をしていると、覗き込む一人の男性がいました。

「図書館に関係しているので、興味があります」と。そして「お隣に熱心な女性館長がいますよ」とも。新宿区立戸山図書館の大城館長のことでした。
早速にご連絡をすると、「お待ちしていました。お話は、聞いています」と。

それ以降、こちらからの各行事へのご案内に対して、館長自ら、または障害者サービス担当の川口さんが都度、参加をして下さっています。

私も何度もお訪ねして、信頼関係を築いてきました。私もあちこち、おじゃましていますが、こういう腰の低いというか、「ボランティアさんあっての図書館です」とおっしゃっる館長は、はっきり言って珍しいです。

そして、こういう熱心な館長のもと、みなさん一丸となっての「営業努力」の結果、利用者からの依頼が増え、代表の南部優子さん率いる「新宿区声の図書館研究会」だけでは、間に合わなくなり、私たち音ボラネットへの協力依頼となったのです。図書館連携プロジェクトとして、2013年度依頼分12タイトルをすべて納品しました。

その後で、顔を合わせての年一回の打合せがありました。

みなさんのおかげで、読みそのものは、ほぼ問題なし、と言っていただきました。処理の仕方で、ばらつきがあるので統一をということで一致しました。
みなさんからの完成品は、音ボラネットの製作品として、新宿区に買ってもらっているという形になっています。

ですから、この図書館連携プロジェクトの事務局でも完成品の質の問題は、最大の関心事となっています。信頼関係が壊れるのは、簡単。築くのは、大変です。

ところでこの頃、図書館職員の対応が丁寧になったとか、親切になったという声が聞こえてきます。更に聞いてみると、そこの図書館が、図書館流通センター(TRC)に業務委託したとか、指定管理になったということが、大きな要因になっているようです。
もちろん、大城館長も川口さんもTRCからの派遣です。
ですから、結果を出すということが、大きなポイントになるのでしょう。だから、頑張るのよという声もあります。

でもそれは、どこの世界であれ、目標を掲げ、結果を出すのは、自然の流れではないでしょうか。努力、工夫をしない所は、どんな分野であれ、結果が出ないのは、当然です。
音訳ボランティアの世界でも、いい意味での競争は、必要かもしれません。

No.319 楽しいワークショップ

視覚障害の人と美術館に行ったら、何をどう説明するのだろう。長いこと気になっていたことの一つです。上野の東京都美術館(都美館)で、『日本美術院再興100年特別展「世紀の日本画」』が開催されています。
休館日の月曜日に、特別鑑賞会が行われるということで、事務局の猪俣、古屋と参加しました。

都美館と「視覚障害者とつくる美術館鑑賞ワークショップ」とのコラボです。 チラシには、「トーク∞トーク 見える人と見えない人の鑑賞プログラム」とあります。 あくまで作品解説ではなく、対話をしながら、2~3の作品を鑑賞するということです。
横山大観、小林古径、平山郁夫等々、近代日本画の巨匠たちの作品が並びます。
もちろん重要文化財もあります。

ガイドヘルパーや付き添いの家族も含め8人くらいのグループが3つ、それぞれのフロアに分かれいざ、絵の前へ。
視覚障害のナビゲーターとサポーターがリードしていきます。このサポーターというのは、美術館で活動するアートコミュニケーター(とびラー)だそうです。
想像ですが、すぐそばに、東京芸術大学があるので、学芸員というよりは、学生ボランティアではないでしょうか。

さてさて、橋本雅邦の「龍虎図屏風」、大きさを体感するために、屏風の端から端まで歩いてみました。そして見える人が、感じたことを言葉にします。

「波の音が聞こえてきそう」、「いまにも動き出しそう」等々。それに対して、見えない人が「そこはどうなっているの」とか、「どっちを向いているの」とか質問しながら、イメージを膨らませます。その屏風がガラスでおおわれていて、鑑賞する人からは、多少の距離があること、つまり、作品がどういう状態で飾られているのか、わからなかったという人がいました。見える人にとって、当たり前がそうではないことを、再確認しました。

こんな感じで進められるのですが、これだったら、たくさんの人が肩の力を抜いて、参加できると思いました。まずは、コミュニケーションを楽しむ、そして名画に親しむということでしょうか?

仙台から参加の阿部さんが、仙台でも2011年から、鑑賞会を始めたと。
「視覚障害を持つ人が美術館に行く、または来るってどういうこと?」というイメージが世の中には、まだまだあるかもしれませんが、美術館に行きたいなと思った人が、気楽に出かけ、何らかの楽しみをみつけたり、発見や学びを得たりすることが、もっと広く行なわれるようになるといいなあと思います」とも。全く同感です。

もうすぐ春ですし。みんなで外に出ましょう。きっと楽しいこと、見つかりますよ。
目からうろこ、のことがたくさんあった面白いワークショップでした。

No.318 利用者の本音に迫る

いうまでもなく、私たち音訳ボランティアは、視覚障害者をはじめとする読書障害者に、情報を届けるためのお手伝いをしています。ならば、そういった利用者との意思の疎通はとれているか、生の声は聞こえているかといえば、はなはだ疑問です。
自分たちが製作した録音図書が、どんなふうに聞かれているのか、知らない人がいます。私が出かけた先で、等速で聞いている人は、少ないという話をすると、「えーっ!」という反応が返ってきます。

そんなわけで、音訳者よがりにならないためにも一度、徹底して利用者の本音に迫ってみようと、5月24日、日比谷図書文化館でシンポジウムを予定しています。(詳細は、3月末発行の「音ボラネット通信第21号」を参照)

いつものことですが、登壇者探しは苦労します。
少しでもバランスよく、幅広い年代の全国各地の利用者に出ていただくのが、理想ですが、現状難しいことが多々あります。それでも、日本点字図書館の大坪さんにもご協力いただき、お二人推薦していただきましたし、当事務局の川上からも、地元の学生さんの名前があがりました。今日はここ、明日はあそこでと、直接お目にかかってお願いしてきました。

しかし中には、壇上で200名近い参加者を相手に、忌憚のない感想、意見を発表するのを躊躇する方もいます。事実「地元の図書館での三者会議で話すのとは違うので、遠慮します」とか、「お茶でも飲みながら、知り合いとおしゃべりするのは、いいけど・・」と何人もの方から断られました。
そんな中、登壇を決意してくださった勇気ある6人の方々には、敢えていえば、辛辣な感想や意見をとお願いしています。更に司会も、利用者の代表にお願いしました。社会環境の変化に伴い、利用者の読書環境も大きく変化しています。当然、私たちの活動も変化せざるをえない部分があります。
せっかく貴重な時間を使って活動しているわけですから、利用者のみなさんに喜んでもらえる活動ができたらと思います。そしてこのシンポジウムに参加して、また明日から頑張ろうと思ってもらえたら幸いです。

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